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2004.01.14

行定勲を特集する「文藝」

季刊の「文藝」(河出書房)の最新号の特集は、映画監督の行定勲である。一般的には「GO」(金城一紀原作、宮藤官九郎脚本)の監督として知られる行定は、若手映画監督の中でも将来を嘱望される一人である。実は行定の撮る映画の本流から「GO」は遠いものであって、あまり知られていない「ひまわり」「贅沢な骨」「閉じる日」「ロックンロール・ミシン」などのような映画にこそ彼の真髄がうかがえる。特に誰かの死を生き残った人間たちがどのように受け取り、世界を再構築していくのかということを語る部分に、行定映画のよさがあると思う。秩序破壊の後の創造とでも言えばいいであろうか。「ひまわり」と「贅沢な骨」の二本は特にそれが顕著に見られる(主演はいずれも麻生久美子)。人が生きるとは自らを取り巻く世界との距離の取り方に他ならないのであった。

#「GO」の映画化にあたって、あるプロデューサーが「在日の話だけど暗くないんだよ、凄い爽快な感じで在日映画をやると社会的にもいいしさ」と言ったそうである。どうしてこうも次元の低い大馬鹿者が社会的責任を負うメディアの世界で生きていけるのか、不思議である。ちなみに行定は激怒して「映画にするな」と断ったそうである。が、結局「GO」は彼の所へ巡ってきたらしい。

この特集では、行定の映画に対する思いやこれからのことなどが存分に語られている。また行定と関わりの深い人々(前述の宮藤の他、鈴木清剛、窪塚洋介、永瀬正敏、田中麗奈、柴咲コウら)の証言も楽しめる。行定監督の新作は三月公開の「きょうのできごと」(原作は柴崎友香)であるが、京都の大学生七人のある日の生活を淡々と描写するものである。田中麗奈と妻夫木聡が主演し、伊藤歩、柏原収史、池脇千鶴らが脇を固める。音楽は矢井田瞳。すでに秀作の予感が色濃く漂う。

映画公開に合わせてこの映画の写真集も発売されるとのこと。四人の写真家の名前を見て仰天した。なんと森山大道がいる!!  映画も写真集も大いに期待できそうである。

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コメント

suguluさん、いらっしゃいませ。いつもコメントを書いて下さる方々に来ていただいて、とても嬉しいです。暇に飽かしてくだらない駄文を書き散らしていますが、おつき合いいただければ幸いです。

いろいろとお気づきの点があれば、どうぞお教え下さい。

投稿: morio0101 | 2004.01.17 23:29

はじめてお邪魔します。
Blogサイトがあったなんて今まで気付きませんでした。
morioさんの文章を夢中になって読んでました。これはちょくちょくお邪魔させてもらうことになりそうです。

fotologの褒め合う文化に関しては、同意見です。
そんな意味では鈴木拳銃さん(kenju)のいろいろな所で目にするコメントなどは、参考になります。僕もエロスを撮っていればもっともっと参考になるのでしょうがw

僕もド素人ですので、本音の意見を聞かせて頂ければと思います。

でわでわ

投稿: sugulu | 2004.01.17 16:40

atcy7さん、ようこそ。fotologでは、いつも適切かつ温かいアドバイスをいただき、ありがとうございます。本来ならば私ごときの者がatcy7さんのような技術、知識ともにハイレベルな方のお相手になれるはずもないところ、日々、感謝と恐縮の繰り返しでございます。

fotologは基本的に褒め合う文化で成立しているので、なかなか批判的建設的意見を交わすことが難しいのが残念に思っています。もしよろしければ、この場ででもいろいろとお教えいただければ望外の喜びです。どうぞ今後ともよろしくお願いします。

日本映画の若手監督は、たいてい独りよがりか偏執的で視野の狭いものが多いと思っております。でもそういう部分に惹かれるところもあるので、失望や落胆を繰り返しながら、たまに来る大波に感動している次第です。

投稿: morio0101 | 2004.01.14 18:41

fotologでいつも素敵なコメントを戴きっ放しのatcyです。いつもお世話になっております。
morioさんのBlogを初めて発見しました。今まで知らなかったmorioさんが見れて嬉しく思います。
小津やカルチェ=ブレッソン、そしてクライバーなどへの傾倒がなるほどな、と思わせますね。行定に限らず、日本映画の若手監督の作品には首をひねっている私です。日本映画の制作環境というのも、端が言うほど酷いものではないように思うのですが、なかなかとんでもない才能は出てこないものですね。

投稿: atcy7 | 2004.01.14 08:39

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