« ノラ・ジョーンズ「フィールズ・ライク・ホーム」 | トップページ | 「きょうのできごと」の予告編 »

2004.02.10

ドラッグストアガール

バグルスの「ラジオ・スターの悲劇」がエンディングで流れてきた時、なぜこの曲がこの映画の締めとなるのかと、軽く混乱しながらそんなことを考えていた。旧来のメディアで活躍してきたものが、新しいメディアによって徐々に駆逐されていく悲劇。確か歌詞はそういう内容であったと思う。懐かしいあのコンピューター処理された歌声。

同棲中の相手の浮気にショックを受けた女子大生、大林恵子(田中麗奈)は、行くあてのないまま飛び乗った電車で見ず知らずの街に流れ着く。駅前には寂れた商店街があるばかりで、その先には真新しい巨大ドラッグストアがオープンしようとしている。恵子はなりゆきでこのドラッグストアでバイトを始めることになる。一方、商店街のくたびれた店主達(柄本明・三宅裕司・伊武雅刀ら)は、このドラッグストアの脅威に怯え、襲撃しようと計画する。ところが、恵子の魅力に一人また一人と骨抜きされていき、やがては彼女と仲良くなりたい一心で、彼女のやっているラクロスを始めることになる。何もわからない中年親父達の始めたラクロスは、意外なことに町おこしにまで広まっていき、そしていよいよ下心に満ち満ちたバンブーボーイズの試合が始まる。「大林さんとデートしたいかぁ! 一泊旅行に行きたいかぁ! 一緒に風呂に入りたいかぁ!」という冴えないかけ声とともに……。

コメディーである。田中麗奈の作りすぎた役柄と演技は、脚本の宮藤官九郎の狙いによるという。田中のファンであることを公言する宮藤は、彼女が可愛く映っているだけでオーケーという姿勢で、まさに田中麗奈のためにこの脚本を仕上げた。ただこれまで自然体という面で評価されてきた田中麗奈が、明らかに作っていると感じさせる役にどこまでマッチしているのか、少々疑問が残った。「GTO」や「好き」でも作り込みすぎた役で見事に失敗していたことが思い出される。いや、この2作よりは遙かにましではあるのだが。

またドラマとしてもラクロスというスポーツを取り入れ、新しさを狙っているが、これも今ひとつ消化しきれていないように思う。「Shall we dance?」の社交ダンス、「ピンポン」の卓球、「ウォーターボーイズ」のシンクロナイズドスイミングなどは、どれも分かちがたくドラマの中心と結びついている。ところが「ドラッグ〜」のラクロスはそうではない。上達というリアリティがない。中心としておかれているが、必然ではないのだ。だから最後の試合も心情的に盛り上がらない。しかも無理矢理盛り上げようとしているから、よけい痛く感じられる。ここが最大の弱点だろう。コメディであってもその笑いを保証するリアルさは必要不可欠である。中年親父達の怪演がとてもよいだけに惜しいところである。

もう少し細かな掘り下げがあればよかったのにと思う。よい映画を作り上げるのはかくも難しいことなのかと、公開三日目にもかかわらず、わずか五人の観客しかいない劇場の座席で、「ラジオ・スターの悲劇」を聞きながら、そんなこともぼんやり感じていた。駆逐されるものは何で、駆逐するものは何なのだろう。心斎橋パラダイス・スクエアで鑑賞。

ドラッグストアガール公式サイト

|

« ノラ・ジョーンズ「フィールズ・ライク・ホーム」 | トップページ | 「きょうのできごと」の予告編 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11234/182896

この記事へのトラックバック一覧です: ドラッグストアガール:

» ドラッグストアガール 田中麗奈 [◆BBNews◆ゲーム、映画、アニメ、音楽、CM、テレビ番組紹介]
田中麗奈が主演のコメディ映画。大学のラクロス部に所属する田中麗奈が 彼氏に二股をかけられ、見知らぬ町で出会ったオカマの薬剤師に話しを 聞いてもらい、それが縁で... [続きを読む]

受信: 2004.02.12 14:47

« ノラ・ジョーンズ「フィールズ・ライク・ホーム」 | トップページ | 「きょうのできごと」の予告編 »