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2004.02.02

村上春樹・和田誠『ポートレイト・イン・ジャズ』(新潮文庫)

村上春樹が作家としてデビューする前にジャズハウスを経営していたのはよく知られている(のかな?)。毎夜、閉店後にキッチンのテーブルでデビュー作『風の歌を聴け』を書き続けていたことは、エッセイなどで何度か語られていた。そういう商売をプロとしてやっていたわけであるから、ジャズに関しての造詣は相当深いものがある。事実、彼の小説には多くのジャズが登場し、またジャズ的な世界が展開する。

この本は、かつて『ポートレイト・イン・ジャズ』『ポートレイト・イン・ジャズ2』として刊行されたものを一冊にまとめ、さらに書き下ろしを加えたものである。イラストレーターの和田誠がジャズ・ミュージシャンをピックアップして絵を描き、それに村上が文章をつけるという体裁である。二人のジャズ好きによるコラボレーションは、対象への愛情にあふれており、極めて個人的なジャズ観が展開する。しかし、である。時に優れた個人的感想(偏見だらけ)は無味乾燥な客観的批評を超えて普遍的な力を持つものである。凡百のジャズ解説本を読むくらいなら、村上・和田の語りに耳を傾け、ついでに本物にも触れてみるのがよいと思う。

イラストはすべてカラー。とても暖かい気持ちになる一冊である。

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コメント

たぶんatcyさんのような反応を引き出すことが、村上春樹の喜びになるのだと思います。芸術のどこに反応するかは極めて個人的なものでしょうからね。一致すれば幸福だし、ずれていても仕方がない。そもそもまったく心が動かない人だっている。写真も同じですね。

大きな書店(たとえばジュンク)では、お試し席まであるので、少し時間があれば、ちょっとした本は全部読めちゃいますね(笑)。私も……(以下自粛)。

投稿: morio0101 | 2004.02.03 20:42

私はこの本、立ち読みでほとんど読んじゃいました。(笑)
好きなミュージシャンとか、思い入れがあるミュージシャンには、「おいおい、ちょっとちがうだろ」とか「こんなことじゃなくてあれを書けよ」とか一人で突っ込んでいました。
全般的に村上春樹らしく軽く読めますね。

投稿: atcy | 2004.02.02 23:50

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