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2004.03.04

第29回木村伊兵衛写真賞

木村伊兵衛写真賞が発表された。29回目の今年度は澤田知子が受賞した。20代の女性となると、つい先の芥川賞のことを思い起こしてしまう。両賞ともに新人賞的な色が濃いので、実績や年齢は問題にはならないが、女性が非常に目立つのは最近の傾向といってよいだろうか。先日見に行った写真表現大学の修了展でも、女性の方が圧倒的に多かったのも偶然のことではないのだろう。

澤田のプロフィールのページで確認できる活動は実にユニークである。今回の受賞は昨年末に開かれた個展「Costume」が対象になっているけれども、基本的に「変装」がこの人の持ち味であり個性であり活動の主要テーマである。彼女の写真は被写体側のおもしろさが徹底的に追求されているのであって、写す側の技術(写真として完成させるところまで含む)はほとんど二の次であるといえる。おそらくアイディアや方法論が高く評価されての受賞なのであろう。講評は「アサヒカメラ」4月号に掲載されるらしいが、どのような評価で受賞が決まったのか、たいへん興味深い。

澤田の大学の卒業制作はプリクラ写真で構成されたという。その後の制作活動では証明写真撮影機も使っている。そもそもプリクラや証明写真機に技術など必要ないし、ハード的に何を語ることがあるのか(いや、語れるのかもしれないが……)。この種の街頭インスタント写真機で磨かれた感性が、写真界の最も大きな賞を獲得したことに意味があるのだろう。澤田の受賞はそういう意味でエポックメイキングなことだと思われる。

「自分の手で撮影していないのに」と語る澤田の言葉は実に奥深い。

木村伊兵衛写真賞、神戸の澤田知子さんが受賞

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コメント

澤田知子さん、私は今回受賞するまで知らなかったんですけど,このエントリを読んでいて,HIROMIXがブームのようになっていた頃のことを思い出しました。

調べてみたら「作者の本名は利川裕美、自らHIROMIXを名乗る。1995年に写真新世紀グランプリを受賞してデビューした。」というから,あのデビュー当時のブームからもう10年近くが経っているのですね。ああ,時が流れるのは本当に早い…

投稿: ayano | 2004.03.06 07:50

ああ、そりゃそうだ。草葉の陰はまずいなぁ。でもお亡くなりになった人もいるので、まぁ、よしとします。やれやれ。

投稿: atcy | 2004.03.05 13:29

日本アカデミー賞とか、芥川賞とか、木村伊兵衛賞とか、受賞の裏側を読むのを楽しんでますが、それぞれが勝手な思惑に満ちていそうで、その怪しさが素敵です。

atcyさん、「草葉の陰」なんて言っちゃったら、低所得写真家の人はみんなお亡くなりになってることになって、洒落になりません……。いや、実際にそういう状態であることを比喩的におっしゃっているのなら、その限りではないのですが :-P

投稿: morio0101 | 2004.03.05 13:14

木村伊兵衛賞も芥川賞も傾向が似てますね。審査員が時代の風俗に迎合し過ぎているような気もします(特に木村伊兵衛賞)。草葉の陰で、真面目なルポルタージュを一生懸命やっている低所得写真家の人々を知っているので、何だかやり切れない気持ちになったりもします。でもこれでいいのだという気もします。賞とは所詮風俗の一形態である訳ですし。

投稿: atcy | 2004.03.04 23:36

何枚かしか写真は見たことないんですが、「妙にはまっているなぁ」という感想が真っ先に浮かびました。
本人が被写体で、誰がカメラを??なんて疑問を打ち消すオモシロサを感じました。
自分には絶対無理なスタイルですね

投稿: sugulu | 2004.03.04 22:18

この報にはほんと驚きました。自分でシャッターを押していない写真で写真賞。しかも、こんな大きな賞なんて。今までだれが想像したでしょうか。もしかすると、選考委員は、カメラマンが澤田さんで、被写体は別のモデルだと思っていたのではないでしょうか(これは冗談)・・・(冗談じゃなかったら怖いな)

投稿: Wind Calm | 2004.03.04 20:39

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