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2004.03.22

きょうのできごと

botamochi.jpg公開初日の昨日は、行定勲監督や田中麗奈らが舞台挨拶に来たため、大賑わいだったというテアトル梅田。二日目の日曜日の昼、予想に反してやや空席の目立つ劇場で映画に見入った。単館上映のB級邦画だから、いくら話題作といってもこんなものであろうか。映画自体は期待に違わぬもので心の隅々まで暖かく満たされた気持ちになった。

京都にある大学院に進学した正道(柏原収史)の引越祝いに、中沢(妻夫木聡)や真紀(田中麗奈)、けいと(伊藤歩)らが駆けつける。そこには同級生の西山(三浦誠己)や坂本(石野敦士)、後輩のかわち(松尾敏伸)も来ていた。7人は料理を食べ、酒をのみ、テレビを見たり、言い寄ったり、ゲームをしたりして、思い思いに過ごす。テレビのニュースには、ビルに挟まれた男(大倉孝二)が映し出され、浜に打ち上げられたクジラが登場する。真紀はほしいスカートが買えず、かわちは彼女であるちよ(池脇千鶴)に愛想を尽かされそうになっている。西山は真紀に変な髪型にされ、正道は当て逃げされて怪我をする。そして何ごともなかったかのように今日が終わり、明日がまた来る。

我ながらいい加減なあらすじだと呆れかえっている(笑)。

正道の下宿、座礁クジラのいる海岸、警察から逃れようとした男が挟まれるビル。この映画は異なる場所で同じ時間に起こっているある夜の出来事を描く。そしてそれぞれはまったく関係ないはずなのに、どこかでつながり微妙に影響を及ぼし合う。行定は、豊かで平凡な日常を捨て、過激なドラマばかりを求める映画作りに疑問を持ったという。そしてさらりと通り過ぎてしまう事象に気付く幸せと、どこかでいろいろなことがつながっていることを、映画として形象化したかったと述べる。

この何もドラマチックなことが起こらない映画が自分の好みに合うことは、原作を読み、撮影ドキュメンタリーを見、活字メディアの情報に接した、その時々の感触からすでにわかっていたことで、最後に映画本編を見て、それを確認するだけという状態であった。人にはどうでもいいことなのに、自分にとっては人生を左右するほどのどうでもよくないことというのは、確かにある。こうした愛すべきちっぽけなことの集積こそが人の生活そのものになるであろう。「どこにでもある日常は、捨てたものじゃないよ」という行定の伝えたかったということを反芻してみたい。

日本映画界の実力派若手俳優が揃って登場しているが、池脇千鶴と松尾敏伸の二人が最も輝いている。池脇の存在感とうまさには舌を巻いた。動物園でもエンディングでも、佇まいや台詞回しが秀逸で唸らされる。伊藤歩の切れた演技もいい。田中麗奈は演じた真紀がまともすぎて、この二人の魅力ある女性(ちよ・けいと)に比べて損をした感じがある。柏原収史、三浦誠己、大倉孝二らも個性をよく発揮していた。

ユーモラスでちょっと切ない思いを感じさせる、とても幸せな青春映画であった。テアトル梅田で鑑賞。今週末までは行定監督が撮った矢井田瞳「マーブル色の日」のPVも上映される。書き残したという思いが残ったが、ひとまずここまで。映画に明解な山場と結末を求める方にはお薦めできない。ご注意を。

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コメント

今日2回目の鑑賞をしました。なぜこんなにもこの映画に惹かれるのか、今は熱に浮かされている状態ですから、この気分が落ち着いてから、よく考えてみたいと思います。
テアトル梅田は平日昼なのによく入ってました。「アメリ」や「ピンポン」のように単館からシネコンに拡大公開されて、多くの人に観てもらえたらいいですね。

投稿: morio0101 | 2004.03.23 23:57

何故かコメント欄が化けてしまうのでこちらから。
きょうのできごと。よかったですよね。
何も起こらないと言いつつ、結構いろいろ起きてて、自分はひとりじゃないんだなーと感じられる映画。
私はとくにけいとのキャラクターが大好きです。切れた演技かわいかったですね。ちよはジョゼと被るところがあって、そんな感じかと思ってしまいましたが。

行定映画では一番好きかもしれない。

ちなみに昨日渋谷は案の定、混み込みで観るの断念しましたよ。
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chitchat BBSに書き込んでくださったものを、私(morio0101)の方でこちらに移させていただきました。

投稿: mimi | 2004.03.22 17:30

犯罪者は犯罪映画を見たくないのだと思います。
恋愛にまみれている人は恋愛映画も恋愛文学も興味が無くなると思います。
日常がドラマチックなmorioさんは、きっとそういう(私は未見だから)映画をとくとくとごらんになるのだと、思いました。

投稿: Mu | 2004.03.22 08:38

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