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2004.05.31

空の穴

北海道の流行らないドライブイン「空の穴」を舞台にした恋愛物語。静かで重い。そして北海道の青空がことのほか気持ちよい。

妙子(菊池百合子)は恋人との北海道旅行の途中、口論をきっかけにしてガソリンスタンドに置き去りにされてしまう。所持金もなく空腹に耐えかねた妙子は、ドライブイン「空の穴」で無銭飲食をするが、すぐにそこの料理人である市夫(寺島進)に捕まってしまった。その市夫はギャンブル好きの父親と退屈な日々を送っていた。あまりに寂しそうな妙子に同情し、「空の穴」で共同生活を始めることになる……。

華やかな恋愛と無縁な人生を送ってきた中年男に恋人に捨てられたばかりの若い女とくれば、起死回生の新しい生活が始まってハッピーエンドと思いきや、最後はずいぶん切ない結末を迎える。しかもそこに至るまでが不器用な生き方しかできない二人らしく、感情のぶつかり合いや独りよがりな暴走行為のオンパレードである。しかし、それこそがリアリズムであろう。彼らは決して森の王子様やお姫様ではないのだ。非日常的な幸せを描くようでいて、実はどこまでも現実的な日常の営みや感情を浮き彫りにする。ちりばめられたユーモラスな場面に和みながら、市夫と妙子の共同生活が生み出すさざ波の揺曳をじっくりと味わわせてもらった。

寺島進も菊池百合子も自然に役に入り込んでいてすばらしい。熊切和嘉監督は本作が2作目、30歳(1974年生まれ)の新鋭である。今後も期待したい。

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