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2004.07.03

嶽本野ばら『カフェー小品集』(小学館文庫)

喫茶店にはよくお世話になる。しかし、ここ数年もっぱら利用するのは、昔ながらの喫茶店ではなく、スターバックスやシアトルズ・ベストコーヒーなどの、小綺麗なセルフ形式の店である。タリーズコーヒーやドトールコーヒーにも入るけれど、紫煙の濃い場合があるので、完全禁煙の店があったら、そちらに入るようにしている。煙草そのものには含むところはなく、マナーの悪い喫煙者の存在や煙の臭いが体につくのが大嫌いなのである。だから禁煙どころか分煙もままならない喫茶店をついつい避けてしまうのであった。

それでも近所には行きつけの喫茶店がある。そこは喫煙ができる店で、どこに座っていても紫煙が流れ込んでくる。防ぎようがない。ではどうしてそこに通うのか。客同士の会話が滅法おもしろいからである。地元民に愛されているその店には、おっちゃんやおばちゃんが来店しては、日がな一日いろいろな世間話をしている。それを聞くともなく聞いていると、「世の中にはいろいろな出来事があるなぁ、自分の知らないところで世界は動いているのだなぁ」などとしみじみ思う。まさに「きょうのできごと」の世界である。あまり声高に話をする人のいないスターバックスでは、そんなことはほとんどない。皆、静かにコーヒーをのみ、静かに本を読んだり、考え事をしたりしている。どちらがよいとか悪いとかではない。多様な店があって、単一化されない世界のありようを感じられるのが肝要であろう。

嶽本野ばらの表題の本も楽しく読み切った。ここに登場するカフェーは、つまりは伝統的な喫茶店のことである。頑なに古き良き時代の喫茶店文化を守り続ける店を取り上げ、そこから「インスパイアされた物語(あとがきより)」が描かれている。小洒落たカフェにはあるはずのない、そういう物語を堪能することができた。

追記:3冊続けて嶽本野ばらの本を読んだが、この人の文章は確かに読ませる力があると思った。

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コメント

>Qyouさん
そうなんです、アシェは時間もだけど、定休日が問題なのです。日曜日に閉まっているのはつらい。

投稿: morio | 2004.07.18 00:48

あ、あそこのターリーズか!あそこは入ってなかったかも。うー・・・全店分煙で統一すればいいのにね。いつも読んでいただいてありがとうです。アシェは、丸ビルまでくればあとは2号線に出て西へちょこちょこっと歩けば・・・すぐ。後は、時間の問題ですか。

投稿: Qyou | 2004.07.17 18:54

>Kuuさん
はじめまして。喫煙者と非喫煙者、お互いが気持ちよく過ごせるような環境になればいいですよね。

>Qyouさん
タリーズについてのご指摘、ありがとうございます。マルビル前の店ともう一軒(どこだったろ?)で紫煙に晒されたような記憶があったので、上記のように書きました。また確かめてみます。きちんとカラスで仕切られているなら、嬉しいことです。いつもそちらのブログ(日記)も見せてもらってます。アシェや麦酒にも行きたいと「強く」願っております。

投稿: morio | 2004.07.16 23:30

>タリーズコーヒーやドトールコーヒーにも入るけれど、紫煙の濃い場合があるので、完全禁煙の店があったら、そちらに入るようにしている。

morioさん、おひさしぶりです。大阪市内にて何件か(心斎橋とか梅田とか)ターリーズコーヒーに入りましたが、喫煙者と禁煙者は、ほぼ完全密閉のガラス窓で隔離されておりました。喫煙席は喩えるなら阪急電鉄の待合室みたいな感じ。それも喫煙席のほうがはるかに面積が少なく、店の中心は煙草を望まない人のためにあると感じることが出来ました。ですから、ターリーズコーヒーで紫煙の濃い場合というのは席が足りなくて仕方なく喫煙席に入らなければならない場合を除いては存在しないのではないかと言う印象を持っています。

ドトールについては・・・なんとかしろよって感じですね。系列のエクセルシオールカフェは内装も味もいまいちだし。せめて煙対策くらいしっかりしてほしいものです。

投稿: Qyou | 2004.07.16 15:47

はじめまして
「カフェー小品集」を検索していてたどり着きました
感じていることをかなり代弁してもらっていて、うれしくなりました~

投稿: kuu | 2004.07.16 14:29

>ぽた子さん
うーん、それはちょっとというか、かなり勇気がいるなぁ。まず家でこっそり練習してっと(笑)。

投稿: morio | 2004.07.04 23:36

>この人の文章は確かに読ませる力があると思った。

・・・でしょ?(^^) それではmorioさんも,明日から彼のことを「野ばらちゃん」と呼びましょーう! (^^)v

投稿: ぽた子 | 2004.07.03 02:14

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