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2004.07.07

ネット上の図書館

青空文庫」の収録作品が、七夕の今日、ついに4000点を突破した。記念すべき4000点目は折口信夫の「たなばたと盆踊りと」であった。

1997年7月7日に開設されてからちょうど7周年となる。著作権の切れた作家(死後50年経過)の作品をボランティアの力を借りて次々と電子化してきた。夏目漱石や芥川龍之介、森鴎外などの著名な作家から、専門家しか知らないようなマイナーな作家まで、集められた総数は約400名に達する。明治から昭和初期に活躍した作家で、ここに見当たらない人物を探す方が困難であろうと思われるほどである。

こうした膨大な電子化テキストがすべて無料で読めることがなによりすばらしい。知られるように、文庫や単行本として刊行されるものは売れることが優先されて、文化的歴史的に重要であるという観点からは、一部を除きなかなか取り上げられることがない。ましてそういった価値すらないような作品であれば、出版計画の俎上に上ることもほとんどない。しかし、青空文庫では玉石混淆とでもいう形でとにかく電子化する。ここではテキストの価値の判断は読者に委ねられている。それは正しいやり方だろう。作る側がフィルターをかけてしまうより、とにかく出して、使う側がその善し悪しを判断する方が、はるかに多様なものが生み出される可能性を秘めている。ただの一編では無価値に近いものも、大量に集められることで、にわかに重要な意味を帯びてくる。それらも紛れもなく日本の文学(または文化)の一側面であるからだ。

青空文庫と関係の深いボイジャー社は、テキスト閲覧のためのソフトを早くから開発してきた。エキスパンドブックに始まり、T-Time、そして今はazurである。どれもパソコンの画面でいかにテクストを読むか、仮想的な書籍として見せることができるかに腐心してきたものである。最新のazurは縦書きはもちろんルビや各種の傍点・傍線、漢文の訓点(レ点、返り点)まで表示することができる。普通に読書をするということに限って言えば、もはや完成の域に達していると思われる。もちろん紙メディアの持つ伝統的な力とそのまま比較することは無為なことである。双方のよさを活かしつつ、うまく活用すればよい。おもしろい時代になったものである。

なお今月になって「新書マップ」という新しい検索サイトが開設された。国立情報学研究所が関わっているもので、指定した言葉と関連する内容を「連想」して拾い出すという興味深いシステムを採用している。新書というジャンルで主要出版社を横断する形で、約7000冊から検索をする。これも便利。

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コメント

>kudar!さん
少なくとも本を買ってこなくてもよいので、その分、とっつきやすいかもしれません。

投稿: morio | 2004.07.09 03:13

電子化されたら小説読まない僕でも読めるかなぁ?

投稿: Kudar! | 2004.07.08 01:17

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