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2004.07.12

チルソクの夏

昨冬公開された「ジョゼと虎と魚たち」に主人公の妻夫木聡の恋人役として出演していた上野樹里。彼女のことが気になって観賞後に調べてみると、NHKの「てるてる家族」の他に「チルソクの夏」という映画に出演したとあった。しかし、公開は未定とあり、またしてもB級邦画の悲哀を感じていた。それがタイトルの「チルソク(韓国語で七夕)」に合わせるように、この夏の公開が決定した。喜び勇んで公開初日の劇場へ足を運んだ。

1977年。年に一度開催される下関・釜山親善陸上競技大会で、郁子(水谷妃里)は安(淳評)と出会う。親善の名の下に行われる大会ではあるが、両国を隔てる壁は以前高いままである。七夕の日に翌年の大会での再会を約束した二人は、それぞれの国から相手のことを思い続ける。二人の淡い恋心は海を越えて成就することになるのだろうか。

自分の思いを信じてまっすぐに生きる郁子や、それを支える陸上部の仲間たち(上野樹里・桂亜沙美・三村恭代)の姿がことのほか輝いて見えた。その清々しさは同じ女子高校生を主人公にした「がんばっていきまっしょい」に通じるものである。もちろん「チルソクの夏」は初恋がテーマであるから、ひたすらボートに自らの高校生活を捧げた「がんばっていきまっしょい」とは質を異にするが、まっすぐに対象に向き合い、そのために努力を惜しまないという点において、両作の訴えかけるものに同じ色を見るのは難しくない。「恋をする」ということがどういう情動であったのかということを、人は長く生きていくうちに次第に忘れていく。その忘れかけているまっすぐな気持ちを、生々と蘇らせてくれた。結末部分はそれもありだなと思わされる仕掛けがあった。

劇中の音楽は1970年代の日本の歌謡曲が満載である。ピンクレディー、沢田研二、山口百恵、キャンディーズ……。映画の中でキーになる曲はイルカの「なごり雪」。携帯もメールもない時代は、私の生きてきた時間そのものでもある。懐かしすぎて胸が苦しくなるほどであった。主人公は上野樹里ではなかったけれど、満ち足りた気持ちで劇場をあとにした。佐々部清監督作品。心斎橋パラダイススクエアで鑑賞。

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