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2004.07.15

最相葉月『なんといふ空』(中公文庫)

ありえないものの代名詞として有名な「青いバラ」が誕生したと、つい先日のニュースが報じていた。なんでもバイオテクノロジーで青色色素をバラ自身に生み出させるようにしたそうである。そして最相葉月は今回の青いバラの生みの親のサントリーを取材して、かつて『青いバラ』(小学館)を上梓していた。その時にはまだ誕生していなかった「青いバラ」、それが今は現実に存在する。

『なんといふ空』は著者初のエッセイ集である。巻頭に置かれた「わが心の町 大阪君のこと」は映画「ココニイルコト」の原案となったもので、全編の中でもとりわけ深く静かに心に残る。映画はこの小品のエッセンスをうまく掬い取り、これもまた印象深い作品になっていた。惜しむらくは主役を演じた真中瞳が、その後鳴かず飛ばずになってしまっていることか。大阪出身だし、がんばってほしいのになぁ。閑話休題。

しかし、このエッセイ集は全体としてはあまり好きではない。どうも文章に無駄な飾りやひねりが多くて、読んでいて鼻につくのである。特に各編の最後の一節、一文がいただけない。現実を描いているはずなのに、それを読んだ瞬間、すべてが芝居がかって見えてしまうのである。大阪弁で言うところの「ほんまかいな」である。

解説をものした重松清によれば、「本書の一編ずつを『感動』しながら読み進めた」そうである。重松の感動を疑ったり、否定したりするものではないが、「初読の時はもちろん、何度読み返しても『感動』は減じるどころか、ますます深まっていく」とまで言われると、最近の重松自身の小説がつまらなくなっていることをつい思い返してしまった。二人合わせてマイナス効果である。最相のデビュー作『絶対音感』(小学館)はそれなりに楽しんで読んだのだけれど。

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コメント

>Muさん
厳しいですか? 知人友人素人ならいざ知らず、相手はそれでお金儲けをしているプロですから、おもしろくないものをおもしろくないと言っただけなんですけどね。作品としての価値云々はよくわかりません。

針穴の方は、場所を借りているジュゲムがデータ移行作業をしていまして、その間はいっさい見ることもいじることもできなくなってます。ようやく復活しましたが、まだ不安定のようです。もう少ししてから、また見ていただければ幸いです。

投稿: morio | 2004.07.15 20:14

morioさん
 あんたさんの、評価は、いつも、
 手厳しいですね。
 いやはや(汗)

 ところで、針穴を見に行きましたら、データベースが移動中とかなんとか。
 blogの鉄人morioさん、一体どうなっているのでしょうか?

投稿: Mu | 2004.07.15 08:01

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