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2004.08.15

是枝裕和・川内倫子他『あの頃のこと』(ソニーマガジンズ)

あの頃のこと是枝裕和監督の「誰も知らない」のスチールは、川内倫子が担当している。最近のいくつかの邦画では当代の人気写真家が同じような形で映画に参加している。たとえば川内は以前「blue」(安藤尋監督)でスチールを撮り、同題の写真集を出していたし、「ジョゼと虎と魚たち」(犬童一心監督)では佐内正史が、「きょうのできごと」(行定勲監督)では野口里佳・森山大道・野村佐紀子・吉永マサユキらが、そして「ドラッグ・ストア・ガール」(本木克英監督)では蜷川実花が、やはりスチールやポスター撮影を担当して、別に写真集などを刊行したりしている。映画にとっても写真家にとってもよいプロモーションになるのだろう。総じて観客動員に悩むB級邦画ゆえに、こうした一種のコラボレーションが少しでも話題になり、人々の関心を喚起できるならば、たとえ「まず商売ありき」だとしても、ファンとしては歓迎したい。

あの頃のこと Every day as a child」は、映画「誰も知らない」にも描かれる「子供の世界」「子供の記憶」をテーマにして綴られる。前半にはこの映画を記録した川内倫子の写真が置かれ、後半は是枝裕和以下、中村航、湯本香樹実、佐藤さとる、やまだないと、中村一義、島本理生、堀江敏幸、しりあがり寿による小説やエッセイが収められる。文章には出来不出来があるものの、川内倫子の写真集が1900円で買えることを思うとたいした傷ではない。そしてその川内の寄せた短文が「あの頃」をよく思い出させてくれる。

  日なたに干した
  ふかふかのふとんにくるまって眠る夜
  うとうとしながら
  となりの部屋の大人たちが立てる音を聞く
  昼間に感じたぬるい風
  土の匂いをくりかえし思い出す
  なんでもない、とても幸福な一日の終わりがあった
  そうだった

映画本編の評判も上々のようである。だんだん日が短くなり、朝夕に秋を感じさせるこの季節は、記憶の中の懐かしさを強く刺激する何を持っているように思える。この本を読みながら、ふとそんなことを思った。

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コメント

>bun045さん
ありがとうございます。「ネスカフェ・朝のリレー」や「サントリー・なっちゃん」も是枝監督ですね。並べてみると、どれも子供が活躍していて、つながりを感じさせるようなCMになっていると思いました。

投稿: morio | 2004.08.24 22:23

ご存じかも知れませんが、「モノより思い出」のCMはこの監督の作品ですね

投稿: bun045 | 2004.08.24 18:17

>まんまさん
ぜひとも映画も見て下さい。さらにしみじみします。

>marinさん
おっしゃるところ、よくわかります。某自動車会社のCMではないですが、「モノより思い出」というのは至言でしょうね。

投稿: morio | 2004.08.18 02:07

大袈裟なイベントやモノではなく、日々の小さな発見、匂い、触覚...子供の幸福は五感を通して深く記憶されるものであることを思うと、自分の子供たちにどれだけそんな時間を過ごさせているか、不安がないわけではありません。でも、そんな大人の気持ちとは関係ないところで、子供たちは自分の世界を持っているような気がするし、そんなふうにしなやかで強いのが子供なんだと信じたい。

投稿: marin | 2004.08.17 01:06

この詩イイですね。懐かしい!ふわふわの布団。
遠い記憶が戻りました。しみじみ・・・・

投稿: mamma | 2004.08.16 01:42

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