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2004.09.20

大西みつぐ『下町純情カメラ』(えい文庫)

日常生活をスケッチしたような写真を貼り付け、それにまつわる文章を書く。

そういうスタイルのブログやホームページをよく見かける。よく見かけるというか、それこそが主流である。どれがどうだと言い始めると、最後は好みに行き着くだけだし、きりがない。私としては、次の4つのうち、ひとつでも充たしてくれたら満足である。

 1 話として楽しめる。
 2 文章が上手い。
 3 写真が素敵。
 4 新しい知見が得られる。

逆に最も苦手で敬遠したいものは、適当な写真に自己陶酔しきった独りよがりな文章がついているものである(書いていて自分の胸が苦しくなるが、ひとまず棚上げ)。むやみに改行を施した「詩もどき」は特に受け付けない。こういうのを見た時は、モニタに向かって悪態をつきながら、延々と続く画面をスクロールさせている(しかもたいてい長い……)。我ながら品のないことである。いや、あくまでも好みの問題です。

『下町純情カメラ』は、大西みつぐが東京の下町をスナップした写真に、彼の視点から見た生活や歴史や文化についての文章がふされている。どれを取っても親密で温かいものを感じる。なにより空気感がいい。こういうさりげない写真を撮って、いい文章を書けたらいいなと、うらやましく思うほどである。一読の価値あり。巻末には丁寧な下町ガイドマップも付される。

言わずもがなの説明:大西みつぐは1952年東京深川生まれの写真家。第22回太陽賞、第18回木村伊兵衛写真賞などを受賞している。街のスナップ写真を得意とする。

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コメント

>tearoomさん
多江さんほどではありませんが、5〜6冊は買っているかと思います。この本はその中でも一番のお気に入りになりそうです。写真も文章もいいですが、手書きのタイトルとイラストもいい感じです。

次から多江さんに用がある時は、ヨドバシ二階で張り込むことにします(笑)。

投稿: morio | 2004.09.22 00:11

この本好きです。ヨドバシの待ち合わせのメッカ書籍売場で、必ずえい文庫をチェックし買い求めるようになりました。パラパラとめくり即購入。エントリー予告編で、この本のタイトルを見つけた時「むふふふ morioさんもですわね」と思ったわたくしでございます。

投稿: tearoom | 2004.09.21 11:22

>m4
『下町純情カメラ』はハードとしてのカメラについて語らないのがいいと思いました。表現されるのは大西みつぐが内側に持っているソフト(=体験、記憶)なので、よけいに「その人、そのもの」が出ているのでしょう。これを読めば、またしても反省モードに入れること、間違いなしです。帯のコピーは、まぁ、いいや(笑)。

投稿: morio | 2004.09.20 23:20

えい文庫は、写真と文章を組み合わせた文庫本が多く、作中に深く入り込みたくないけれど文字を追わないと落ち着かない移動中などの定番になりつつあります。

この本は読んでいないのですが、この手の文庫本を読むと必ずblogを思い浮かべます。たいていは写真を撮った人(撮る事が仕事の人)が文章を添えているので、途中に校正が入っているのだとしても文章は「その人、そのもの」なのですもの。自分のblogでは、これほどまでに読ませる事が出来るのか、等と独り反省会を開くのです(すぐに散会するけれど)

後は、この文庫本達の腰帯コピーがいまひとつなのが...(まだ言ってる)

投稿: m4 | 2004.09.20 07:52

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受信: 2004.09.21 17:46

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