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2004.10.04

アイデン&ティティ

原作みうらじゅん、監督田口トモロヲ、脚本宮藤官九郎。演じる役者は峯田和伸・中村獅童・大森南朋・マギー・麻生久美子。これだけの人を集めて作られた「青臭い青春映画」は、意外なまで剛毅木訥でごつごつとした味わいであった。まさにストレート勝負の「アイデン&ティティ」。

バンドブームはあっという間に終わった。中島(峯田和伸)率いるスピードウェイ(中村獅童・大森南朋・マギー)は辛うじてメジャーデビューを果たしたものの、本当にやりたい音楽と売れる音楽のギャップに悩んでいた。メンバーの間にも微妙な亀裂が走る。「ロックって何だ?」と悩む中島の前に、ある日ボブ・ディランそっくりのロックの神様が現れた。ディランのメロディで啓示を与え続ける神に対して、中島は何を思い、どんな行動を起こしていくべきだろうか。中島を静かに鼓舞する恋人(麻生久美子)は、「君が何を伝えたいか、君自身のアイデンティティは何なのか、それが問題だ」と言い放つ。やりたいことを続ける楽しさと苦しさを抱えて、メンバーはステージに向かう……。

B級邦画としては、キャスト・スタッフの豪華さは特筆すべきものである。しかし、公開時にはほとんど話題になっていない。麻生久美子が出るというので楽しみにしていたのに、関西での公開はなかったか、あっという間に終わったか、どちらかである。惜しいことである(いや、麻生がというのではなく、映画が知られないまま消えたことがである)。映画自体は日本の古い物語によく見られる伝統的な貴種流離譚(苦境に陥った英雄が援助者の力で復活し繁栄する)の話型に沿ったもので、何のけれんもないシンプルな作りになっている。佳作といってよいだろう。

「やらなきゃならないことをやるだけさ。だからうまくいくんだよ。」

けだし至言である。閉塞した状況にある時に見ると、いろいろと考えさせられたり、身につまされたりするかもしれない。ただあまり小難しいことを考えずに、娯楽的な音楽物語として楽しむ方がよいと思う。人生教訓的なものを引き出そうとすると、たちまち俗っぽい腐臭にまみれてしまうだろうから。

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コメント

>miuさん
もしや念視? その通りです……。特典ディスクのメイキングを見ると、主役の峯田和伸が麻生久美子をまともに見ることができず、硬直してました。もちろんまわりから冷やかされてます。私は画面を見ながら拳に力が入ってました。一応、内緒です。

投稿: morio | 2004.10.07 23:59

ちんさんの恍惚の表情が目に浮かびます(想像、あくまで)
その恍惚の延長でむさぼっていであろう甘美な睡眠を、郵便のおっさんに打ち砕かれて、さぞかしとほほな休日だったでしょう。
タイミングよすぎましたね。

投稿: miu | 2004.10.07 00:29

>yukiさん
遠くロンドンでも話題になっているのに、どうして関西では話題にならないのか!? いや、それはともかくいい映画でした。とてもシンプルでストレートです。ディランの曲を使っていることについては、DVDの解説書にも誇らしげに記載されていました(笑)。エンディングが「ライク・ア・ローリング・ストーン」というだけで、映画の質が10段階くらいアップ、かも(「かも」かよ!)

投稿: morio | 2004.10.05 22:59

私のまわりでは、みうらじゅん&田口トモロヲ(ブロンソンズ)のタッグと言うことで結構話題になっていて、軒並み好評でした。
もっとも、私たちはバンドブームのまっただ中に青春を送っていたので、感慨もひとしお(笑)←みんな、バンドやってたり、バンドスタッフだったり、はたまたおっかけだったりした連中なので。
今年はじめの正月休みに一時帰国した同僚(彼女は私より10若い)も東京で観て来たようで「よかったよー」と言っておりました。
ディランが自分の音楽を映画などの媒体に提供(許諾)するのは異例のことだそうで、それもスゲーなーと(ロンドンの一部の邦人の間で)話題になっていました :)

投稿: yuki | 2004.10.05 08:38

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