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2004.10.08

ディボース・ショウ

「バーバー」や「ファーゴ」で名を馳せたコーエン兄弟の新作は、意外にもラブコメディであった。メイキングの中で「自分たちには商業的すぎる」と語ったことが本音であるならば、その思いが映画の出来映えに影響してしまったのではないだろうか。ジョージ・クルーニー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ジェフリー・ラッシュ、ビリー・ボブ・ソーントンらの豪華な俳優陣を揃えても、監督が作品を愛していなければ、いいものにはなりようがない。

ディボース・ショウ公式サイト

マイルズ・マッシー(クルーニー)は、離婚訴訟専門の辣腕弁護士である。どんなに不利な係争でも必ず勝利を得る。夫の浮気現場をおさえたマリリン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は、多額の慰謝料を手にするはずのところ、夫の雇ったマッシーの巧みな戦術のために、何も得られないままとなった。マリリンは次から次へと富豪を狙い、結婚と離婚を繰り返すことで莫大な財産を築こうとしているのであった。その後もさまざまな手を使い、あくどくも合法的に相手の財産を手に入れようとするマリリン。そんな危ういマリリンに次第にマッシーは惹きつけられていく。やがて二人は……。

結婚を金稼ぎのための方便にするヒロインとその悪巧みを知りながら心惹かれる弁護士。敵対するはずの者が恋に落ちるというのは、ラブコメの王道であろう。最後はお約束通りのハッピーエンドとなるが、どうにも爽快感がないのである。変わり者や個性の強すぎる者、おかしなエピソードなど、ラブコメらしい仕掛けも十分あるし、主役の二人の演技にも特に気になるようなところはない。おそらくラブコメならではの破天荒さに欠けているのだと思う。「それはないだろう」という出来事を覆すさらに嘘臭いエピソード。その繰り返しと揺曳を楽しみながら、結末まで走っていく。それこそがラブコメの楽しみだと思う。ところが、この映画では深刻な事態も「何となく」過ぎ去り、その解決方法も「何となく」生み出される。だからノレないのだ。

どうせならコーエン兄弟らしいブラックユーモアたっぷりの実験的な「アンチ・ラブコメ」でもやってくれたらよかったのに。「餅は餅屋」ということを改めて知った。ラブコメが似合いすぎるあの女王様の新境地を描く映画についてはまたあらためて。

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コメント

>marinさん
そうなんです、コーエン兄弟ゆえに期待したのですが、彼らの持つテンポやリズム、世界観とラブコメはミスマッチだと思いました。「イン・ザ・カット」についてはまもなくということで、しばらくお待ち下さい。

>Muさん
けけけ、ときましたか(かかか)。血みどろの「ファーゴ」とは違い、こっちはのほほんとした映画でした。

投稿: morio | 2004.10.10 03:12

morioさん
ファーゴ以前にみまして、佳いでした。

で、こんなコメントにコメント返しはやりにくいでしょうね。(けけけ)

投稿: Mu | 2004.10.09 10:40

この作品、コーエン兄弟というだけでちょっと興味があったのですが、わざわざ観るまでもないか、と思いました。
ラブコメの女王の新境地というのはあの人のあれですか。だとしたら、そちらの方がとても気になります。早く教えてほしい...。

投稿: marin | 2004.10.09 00:33

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