« バーチャファイター2(セガ) | トップページ | 唯川恵『肩ごしの恋人』 »

2004.10.24

田口ランディ・山下大明『いつか森で会う日まで』

依然『シマダス』は机上の一角をしっかり占めている。少し息抜きにとページを繰り出すと、もともと何をやっていたのか忘れてしまう時もあったりして、ちょっとした現実逃避の具になっている。

それで流れ着いたひとつが屋久島であった。すでに田口ランディの『ひかりのあめふるしま 屋久島』を読み、あの島への憧れは高まる一方である。書店に行けば、さまざまな屋久島本や写真集を手に取っていたりする(買っていないのがせこい)。もっとも買わないのは自分なりに理由があって、多くの屋久島本はどうにも「あざとい」のだ。そう感じられる。秘境感や世界遺産であることを全面に押し出し、それにのみ寄りかかって商売しているように見えるのである。具体的にどれとは言わないけれど。

屋久島に住む山下大明の写真と非アウトドア派田口ランディの文章による本書は、そういう商売とはかけ離れたものに思える。ここには「屋久島」というブランド力に頼ることのない自立する創造力と、「好きなものは好き」という清々しい感性が詰め込まれている。そこに惹かれる。誰にでもすぐに役立つような内容ではないかもしれない。しかし、優れて個人的な体験や名もなき視覚情報は、むしろこの島の本質的な部分を確実に伝えていると思う。二人の作った穿孔はどこまでも深い。何度でも味わいたい。(PHP研究所、2002年7月)

|

« バーチャファイター2(セガ) | トップページ | 唯川恵『肩ごしの恋人』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11234/1761928

この記事へのトラックバック一覧です: 田口ランディ・山下大明『いつか森で会う日まで』:

« バーチャファイター2(セガ) | トップページ | 唯川恵『肩ごしの恋人』 »