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2004.11.13

1980

蒼井優の出演した映画を探していたら行き当たった。演劇界で人気があるらしい演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(どこの国の人かと思っていたら、日本人だった)の初映画監督作品であるが、彼のことは寡聞にして知らなかった。ただもう一も二もなく蒼井優。「1980」は1980年12月の東京を舞台にした三姉妹の恋愛や生活をコミカルに描く。

ジョン・レノンが暗殺された翌朝、元アイドルのレイコ(ともさかりえ)は教師になるべく母校に教育実習にやってきた。極度の恋愛依存症であるレイコは数々の醜聞をまき散らした挙げ句、芸能界から逃げるように引退したのであった。しかし、懲りることを知らない彼女は実習初日から男子生徒に手を出す騒動を巻き起こす。その高校は父(串田和美)が校長として、姉カナエ(犬山イヌコ)が教員として勤めていて、さらに妹リカ(蒼井優)が生徒として在学している。レイコを巡る一家の悩みは深い。そんな折も折、レイコの元マネージャー(田口トモロヲ)が彼女の過去をすべて曝す暴露本を刊行した。騒動はさらに広がる。カナエはカナエで、リカはリカで個人的な問題を抱えており、いっそう頭の痛いことになってきた。さて……。

小気味のよい展開で、二時間を一気に突っ走る。細かな笑いを呼び起こすフックがそこかしこに仕込まれており、気がついた分だけ笑えるような造りになっていると感じた。ジョン・レノン暗殺に始まり、聖子ちゃんカット、スライム、ルービックキューブ、YMO、テクノカット、横浜銀蝿、初代ウォークマンなど、1980年当時の風俗や小道具が満載である。しかし、これらの小道具はあの時代の雰囲気や空気感を感じさせるために機能してはいない。もっぱら現実(現代)とは異なる異世界を形成するモノとして働いている。それは一種のファンタジーであるこの映画にふさわしいやり方だと思われる。無理矢理1980年に依存するような演出をすれば、かえって不自然な展開を生まなければならなくなっただろう。火星人が火星でどんな生活をするかを描くことに、我々はリアルさなど求めない。それと同じである。

姉妹を演じた三人はいずれ劣らぬ個性を発揮して楽しませてくれる。犬山イヌコっておもしろい人だ。また脇を固める俳優たちも監督の人脈の力でおもしろおかしい人たちが続々と登場していた。及川光博の演じる演歌歌手は最高である。ミッチーはああ見えて歌が上手いですね。最後に。蒼井優の聖子ちゃんカットは似合わないなぁ。そしてそれ以前にあの髪型、今見たらとても不自然で変なゴージャスさがある。80年代は良くも悪くもあの髪型の印象そのものの時代だった。

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コメント

>チーさん
水族館、ただではすまないでしょうね(笑)。つかまりもせず、よく逃げおおせたものです。それとも相手の男に全部なすりつけてきたか。まずは楽しめる映画でした。

投稿: morio | 2004.11.16 19:15

寄偶にも昨日ビデオ借りて今日コレみました。
あの水族館どうなったんだろう・・・笑

もっとコテコテしてる感じかと思ったけど、
見ているうちに聖子ちゃんカットも赤いブレザーも自然なものになりました。

投稿: チー | 2004.11.16 13:09

>しきはんさん
1980の公開時は完全にノーマークでした。が、関西で公開していたのかどうかも不明です。:-P
筋肉少女隊は知っています。でも有頂天は? ケラ監督の昔やリアルタイムでの活動を知っている人は見逃せない映画でしょう。私はもっぱら蒼井優ですが(しつこい、笑)。

投稿: morio | 2004.11.14 20:25

こんにちは。

1980は見なくっちゃ!っていう映画の筆頭です。
特にこの時代を過ごした人間ならって感じですよね。
映画館で見ようと思っていたらあっというまに終わってしまって残念でした。

ケラリーノ・サンドロヴィッチは、有頂天というバンドのボーカル&リーダーだったケラです。
って言っても普通は知らないかな。
筋肉少女帯なんかと同じ時代の中に存在してたバンドです。。
まぁ、ちょっとというかかなりマニアックかもしれませんが。
演劇でも自分の劇団を持っていて活躍してますね。

投稿: しきはん | 2004.11.13 21:59

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私はけっこう80年代の雰囲気というのが好きで、こういう映画はそれだけで無条件に惹かれるのですが、その時代の事知らない若者達にはさっぱりおもしろくないかも・・・・... [続きを読む]

受信: 2004.11.19 11:38

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