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2004.11.23

ハウルの動く城

ドラえもんの声優が代わる。

2005年の春からドラえもんとともに、のび太・しずか・ジャイアン・スネ夫ら主要キャラの声優が交代することになったという。あまたのニュースや新聞で報じられており、すっかり国民的関心事になっているといってよい。大山のぶ代以下、担当していた声優たちの声は、すでにそれぞれのキャラクターの血肉となって、分かちがたく記憶されている。心情的には代わってほしくない。ただ彼らが高齢(平均年齢六〇代後半)であることは否めず、この先櫛の歯が欠けるように担当者が交代していくよりは、一気に世代交代をしてしまって、新生ドラえもんを生み出す方が得策かとも思う。ドラえもんと同じく声優の交代が難しそうなサザエさんでは、すでにカツオ(初代は大山のぶ代)など一部声が変わっているが、早くから馴染んでいるものには、部分的な変更に大きな違和感を感じてしまうからだ。

声優はキャラに寄り添い個性や人間像を創り出していく一方、決して生身の自己の存在を感じさせてはならない。私たちはドラえもんの声が大山のぶ代であることは知っているが、ドラえもんはドラえもんである。彼の声の向こう側のリアルな事情は、よほどのことがない限り脳裏をよぎることはない。それがアニメキャラと声優の幸福な関係であると思う。逆に演じる声優の生身の存在を感じると、たちまち物語そのものへの関心や感情移入が妨げられてしまう。こう感じるのは私一人だけのことだろうか。というのも、宮崎駿監督の新作「ハウルの動く城」で、いかに声優の顔が見えないことが、アニメにとって重要であるかを思い知らされたからである。

公開直後二日間の興行収入新記録を樹立した「ハウルの動く城」は、前作「千と千尋の神隠し」の勢いからすれば、ある程度予想できたことだろう。私は公開二日目、日曜日のシネコン・レイトショーの部で見たけれど、翌日が月曜であるのにも関わらず、超満員で驚いた。しかし、驚いたのはそこまでで、肝心の映画には最後まで違和感を感じながら、居心地悪く二時間を過ごしたのであった。誤解を恐れず言い切ると、これはハウルとソフィーの物語ではなく、キムタクと倍賞千恵子の物語である。

映画が公開される以前、漏れ聞こえる各種メディアの噂では木村拓哉の声優ぶりが酷いらしいとささやかれていた。しかし、実際に見たところでは技術的に問題があったようには思えない。むしろハウルがキムタクそのものに見えることが大いに困った。自然体といえば聞こえはいいが、役作りも何もないのではないかと思うしかない。私はスマップの映画を見に来たのではないのだがなぁなどと思っていると、今度はソフィー、いや倍賞千恵子である。俳優倍賞千恵子の演技力にはいささかの不満もない。ドラえもんでは七〇歳の人が小学校五年生を演じている。でも一八歳のソフィーは、どこを切っても六三歳の倍賞千恵子なのだ。木村ハウルよりこちらが遙かに問題だと思った。無理に一八歳から九〇歳まで一人で演じる必要があったのだろうか。そして倍賞自身に演じ分ける気持ちはあったのだろうか。そこがよくわからない。キャラクターに透明感がなくなる(俳優自身が見える)と、その澱みばかりが気になって、物語を楽しむどころではなくなってしまった。有名俳優を起用することは、今後一考を要するだろう。

いたずらに長くなってしまった。映画としては細部の描き方に杜撰さが感じられ、また展開も性急である。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」と比べると、声優の問題は差し引いても全体の完成度は低いと思う。物語のあらすじやキャストなどは公式サイトで確認されたい。ワーナーマイカルシネマズ茨木で鑑賞。

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コメント

>marinさん
宮崎監督の声優を避けて俳優を起用する方針について、特に含むところはないのですが、連れてきた人たちへの「演技指導」はきちんとしてほしいなと思います。でないと、キムタクみたいな勘違いした輩が今後も出てくることになるでしょうね。

「自然体」なんて言ってお茶を濁すのは、役や物語をきちんと分析・解釈する力のない人間の逃げ口上でしかありません。基本的に演じ分けるだけの演技力や想像力がないんでしょう。

投稿: morio | 2004.11.26 20:22

うー、ドラえもんの声優交代なんて知りませんでした。私自身もかなりショックですが、現在進行形で楽しんでいる子供たちはどう受け止めるんでしょう。

アニメにしても、映画の吹き替えにしても、声優の顔が邪魔にならないというのは絶対条件です。そんなことを観る者に意識させてはいけないのです。大山のぶ代や戸田恵子はその点さすがです。アンパンマンとトーマスの声が同じなんていつも思ってたら、大人の私だって楽しめませんから。

投稿: marin | 2004.11.26 03:26

>きまたさん
原作「ナウシカ」は私も好きで、リアルタイムで体験したわけではないですが、何度か繰り返して読んでいます。もっともアニメの方から原作へ戻ったという「似非ファン」なので、こっちはこっち、あっちはあっちという具合にうまく切り分けています。

一人ですべてをコントロールできないアニメ映画だから、ある程度の妥協もいたしかたなしと、宮崎駿自身が思っているのではないでしょうか。まぁ、本人に聞いたわけではないのでなんともあれですが(笑)。

>ふりぷれさん
私も宮崎アニメでは「紅の豚」が一番好きで、ついで「魔女の宅急便」でしょうか。近いものはどれも大作の風格が鼻につくところがあるかもしれません。「ハウル」は映画館が空いてから行ったらいいと思います(爆)。

>しきはんさん
なるほど。それはそれで考え方としてわからなくもないのですが、だからといって「顔が見えすぎる」俳優、タレントを起用するのはあれですよねぇ。実際のアニメの絵までも、キムタクや倍賞千恵子、それから美輪明宏らの顔が浮かんできます(似せてるかも?)。「笑の大学」の稲垣吾郎、「忍者ハットリ君」「新撰組!」の香取慎吾に負けたくなくてしゃしゃり出てきたという噂も>キムタク。やれやれです。

投稿: morio | 2004.11.25 00:58

宮崎駿が声優さんが嫌いと、聞いたことがあります。
声優の独特の声の出し方とか演技の仕方が嫌いだそうで。
だからわりと主要キャストはいわゆる俳優をつかっているのだとか。
私はまだこの映画をみてませんがmorioさんが言いたい意味はとってもわかります。
キムタクはどこを切ってもキムタクなんですよね。
舞台挨拶で堂々と「役作りはしてない」という意味のことを言っていたように記憶しています。

投稿: しきはん | 2004.11.24 17:40

声優に関しては同じく疑問に思っていたので、いまひとつ観に行く気が起きなかったりしてますが、やっぱりそうですかぁ。
実は宮崎アニメ自体「もののけ」以降はいまひとつ(こちらが勝手に)求めるものと違うなぁ、と感じていたりするんですが…。

とか書きながら、結局は観に行くとは思うんですけどね^^;

投稿: freeplay | 2004.11.24 09:48

宮崎駿のTVアニメが好きでした。
彼の描く漫画も大好きです。(ナウシカや、シュナの旅は、リアルタイムで読んでた。)
宮崎氏本人も大好きです。
でも、宮崎氏の映画は苦手なのです。
映画の作品を観ると、何か納得いかないモノが心の奥に残る…
ナウシカの映画を観た時の失望感がトラウマになってる所為なのかな?
このトラウマから脱却する為に、ナウシカをリメイクして欲しい僕なのです。

ハウルの動く城、TVで放送するまで観ないと思う(笑)。

投稿: きまた | 2004.11.24 09:13

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