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2004.12.18

安野モヨコ『美人画報』

「いつでもどこでもキレイのヒント」という帯の言葉を真に受ける読者がいるのだろうか。これはそういう意図で書かれた本ではない。

髪型・化粧・ファッション・エステ・ダイエット・整形・海外旅行・インテリア・食事・気孔そして太極拳……。「女は、なぜかくも”美”を目指すのか?」という命題を解き明かすべく、安野は自ら実践を試みる。もちろん成功することもあるし、失敗して笑いを取ろうとすることもある。どちらかと言えば、後者が多いか。「洒落のめす」ということは決してしないが、「やりたいと思っても、結局無理!」と開き直る。文章のスタイル、視点の持ち方、語りの立ち位置は、さくらももこに似たものを感じた。端から半ば諦めながらも、「もしかしたらうまくいく!?」と楽しんでいる安野の姿と、そうした行為に実は舌を出している気配(巧妙に隠蔽しようとしている)を、こちらもまた楽しむのが王道(この言い方、変ですね)。

だからと言って連載も二年近く続いた現在、私が美に近づいたかと言えば、それはまったくもってあまり変化がないのです。ま、どんな世界でも口うるさくイロイロ言ったり考察したり評論したりしてる人ってのは、得てして自ら行動してなかったりするものです。

自ら踊っていると見せかけて、踊っている人間を冷静に対象化し分析している恐ろしい一冊。したたかです。女性の美を巡るブランドその他の固有名詞はほとんど理解できなかったが、おもしろく読み終えることができた。(講談社文庫、2004年11月)

安野モヨコ公式サイト つい壁紙をダウンロードしてしまった……

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コメント

>しきはんさん
右サイドバーで「ハニーフラッシュ!」と騒いでいる映画「キューティーハニー」。それを撮った庵野秀明監督のご夫人ということで、興味がありました。とある所(謎)での話のネタにするのにちょうどいいかもということもあります。その方面にはまったくもって疎いのですが、それでも十分楽しめました。

投稿: morio0101 | 2004.12.22 00:27

まさかmorioさんがこの本を読むとは思いませんでした。
どういう経緯でこの本を手に取ったのか
私はそこが1番気になります。
連載で読んでいたときはおもしろかったですよ。

投稿: しきはん | 2004.12.21 15:48

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