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2005.02.02

ヴォルフガング・ティルマンス『コンコルド』

concorde二月一日。「映画の日」だから何か見に行こうと考えてはみたものの、あまりの冷え込みと強風にその気力をどこかに持っていかれてしまった。たまった仕事を片付けたり、積み上げた本を読んだり、「グランツーリスモ4」でニュルブルクリンクを走ってみたり。何となく一点に集中できない気分で午後を過ごしていた。そこに……。つれあいが注文していたiBook G4が配達されてきた。ああ、うう(自分もほしいらしい、と他人事のように言ってみる、でも昨日発売されたPowerBook G4にもっとクラクラしている、iMac G5 20inchもほしい、言うだけならタダ、ついでにバイクフライデーのポケットロケットプロもほしいと言っておこう)。呻きながら頼まれていたセットアップをする。新しいマシンに触るのは気持ちがいい。合わせてAirMac Extreme Base Stationも届いたので、さっそく家庭内LANに組み込む。あっという間に無線環境が完成した。なんて簡単なのだろう。ワイヤレスの快適さはきっと癖になる。とても未来的。

そんなこんなで煩悩に振り回されながら、最近はろくにピンホール写真も撮らず、月末に迫ってきた写真展(またご案内します、よかったら来て下さい)に出すのはどれにするのだなどと悩みながら、近頃よく手にするのはヴォルフガング・ティルマンスの『コンコルド』である。

どの写真にも必ずコンコルドが写っている。しかし、これは通常の航空機写真集ではない。英国の厚く重く垂れ込めた雲を背景に飛ぶ三角形。どんなに小さくても見紛うことのない特異な形。その姿は醜悪なのにとても美しい。そして次に感じるのは、なぜこんなものが存在するのかという違和感である。人類は未来を夢見、その未来を現実としたものの、どうやらそれは祝福されるものではなかった。紗のように霞がかかった画面は異形の飛行物体のその後を暗示するかのようである。あまりにも切ない。ティルマンス自身がこの写真集について、「未来に対する憧憬と、ちょっと物悲しいメランコリーを同時に感じることができると思う」と述べているが(全文はこちら)、作家の思惑をはるかに越えて、コンコルドの叙情性がこの写真集全体から溢れていると思う。かの機は象徴性において希有の存在だった。

2000年7月25日、エールフランスのコンコルドがシャルル・ドゴール空港を離陸、直後に炎上して墜落するという大惨事が発生した。その後1年以上の運行停止を経て再登場したものの、2003年10月24日をもって二度とコンコルドが空に舞い上がることはなくなった。諸般の事情があったようだが、インターネットを中心とする情報処理の高度化高速化により、生身の人間が高速に移動する必要性が減ったことも、廃止の大きな要因となったらしい。とても快適なワイヤレス通信を可能にする丸い円盤(AirMac Extreme Base Station)を横目で見ながら、コンコルドとの間に径庭はそれほどないのではないかと思ったりもする。(Verlag der Buchhandlung Walther Konig 、1997年)

コンコルド搭乗記サイト。マッハ2で飛行中の機内動画などがあり。

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