« my first "KEITAI" | トップページ | 重松清『流星ワゴン』 »

2005.03.07

写真集中毒のススメ

concorde表題の特集を「STUDIO VOICE」最新号(2005年4月号)が組んでいる。示唆に富む記事が多く、実に読み応えがあった。内容の当否を評価するにはあまりにも私に力がないのでひとまず置く。しかし、この特集で打ち出されている「中毒になるくらい写真集に浸ろう」という主張は、大いに意味のある行為であると思う。

  一枚をじっくり楽しむ。
  それから……。

  なぜこの写真がこの位置に置かれているのか。
  前後とどういう関係(流れ、構成)にあるのか。
  総体としてのテーマはなんだろうか。
  その写真集が写真家の仕事の中でいかなる位置を持つのか。

一般的に作家からその種の説明はいっさいない。それを自分なりに考え読み解いてみるのがとても楽しい。作家の差し出すものに踊らされてもいいし、享受者の特権をふりかざしてもいい。まったく自由である。一枚一枚の写真と向き合いながら、トータルとしての写真集の世界観を味わう愉悦は何物にも代え難い。繰り返し自分の好きなものに沈潜する喜びは、次に進む原動力となってくれる。もちろんより多くの写真集を見ることで、もっと大きな写真史という流れを知ることもできる(歴史を知るというのは、どの世界のことであれ、他者への敬意を育み、自己変革を促すという意味において、重要な行為であろう)。

閑話休題 :-P

長々と訳知り顔で語りモードに入ったけれど、私は何より写真集の「モノとしての存在感」を愛でる。本の手応えが好きなので、つい買わなくてもいい物まで買い込んで、部屋を散らかしている(ああぁ)。

■森山大道・荒木経惟『森山 新宿 荒木』(平凡社)
新宿に縁の深い二人が「新宿」に帰ってきた。森山の凄み、荒木のエロさが全開。森山信奉者の私には荒木は夾雑物に思えなくもないが、二人の写真が交互に出てくることで生み出されるアクの強さは圧巻である。同じタイトルの写真展が現在東京オペラシティで開催中である。行くチャンスがあったのだが、果たせず。

■森山大道『サン・ルゥへの手紙』(河出書房新社)
1990年に刊行された写真集が新装版として復刊された。版画かと見紛えるほどの強烈なコントラストのモノクロ写真が居並ぶ。こんなふうに世界が見えたら辛くて仕方がない。ざわざわと心が掻き立てられる一冊であった。

■川内倫子『the eyes, the ears,』(FOIL)
川内の前作『AILA』の続編のような印象がある。しかし、ここでは写真に詩のような短文が添えられる。fotologなどでもよく見かけるスタイルだが、果たしてその言葉は写真にどういう影響を及ぼしているのか。言葉は強い。どうしてもその方向に引きずられてしまう。ついているのはいいような悪いような。

■川内倫子『CUI CUI』(FOIL)
無条件に好きである。川内が13年間撮りためた家族の写真をまとめたものである。写真に写っているのは川内一家であるが、見ているうちに彼女の思いにこちらの思いが重なっていき、自然と自分の家族を思い浮かべることになった。いろいろな感情が湧き上がっていった。私の中では『うたたね』を越えた(あくまでも俺ランキング)。

澤田知子『OMIAI』(青幻社)と長島有里枝『not six』(スイッチ・パブリッシング)はジュンク堂書店大阪本店で立ち読み完了(笑)。癖が強くて好き嫌いが分かれる内容だと思った。

|

« my first "KEITAI" | トップページ | 重松清『流星ワゴン』 »

コメント

>rinさん
以前手に入れた森山のDVDでもGRの音が繰り返し流れて、それが音楽みたいに聞こえていました。その新宿のドキュメンタリーも見たいなぁ。ゴールデン街、連れて行ってくださいね(笑)。

投稿: morio | 2005.03.08 17:02

先日、森山新宿荒木展行ってきました。
ドキュメンタリーで新宿の街を煙草片手にたんたんとGRで撮影する森山さんの姿が印象的でした。
GRの「カチャジーッ」ていう音がなんともイイ感じにリズムの一端を担っておりました(たぶん)
当然その足でゴールデン街へ向ったアタシでした(笑

投稿: rin | 2005.03.07 23:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11234/3201112

この記事へのトラックバック一覧です: 写真集中毒のススメ:

« my first "KEITAI" | トップページ | 重松清『流星ワゴン』 »