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2005.03.25

鉄人28号

日本のロボット漫画・アニメ史上に燦然と輝く「鉄人28号」。その誕生からもう40年が経つ。同時代の漫画やドラマの多くが遠い過去の存在となるなかにあって、鉄人は何度もリバイバルし続けている。昨年も新作アニメが放映されていたし、プレイステーション2用のゲーム(これは傑作!)として発売もされた。海洋堂が制作担当したタイムスリップグリコやリアルな造形がマニアに人気の「超合金魂」にも加えられた。鉄人は立派に新世紀を生きている。そしてついに劇場用実写映画として登場したのである。

映画「鉄人28号」公式サイト
映画「鉄人28号」公式ブログ
映画「鉄人28号」予告編

この映画の基本は少年の成長物語である。どこにでもいそうな小学生金田正太郎(池松壮亮)が、さまざまな事件や人間関係に巻き込まれるうちに、次第に自分の能力や責任に目覚めていく。この流れは「非・バランス」や「ごめん」で少年少女の成長を丹念に追いかけた冨樫森監督の得意とするところであろう。鉄人という昭和の大ヒーローを擁するため、昔ながらの勧善懲悪アクション活劇の色は濃いものの、そこだけに甘んずることをよしとせず、人間のドラマに焦点を合わせようとする部分に冨樫流の味付けが行われていると見るべきか。東京破壊後の病院シーンの描写は、かつての初代ゴジラ(1954年)をほんの少しだけ思い出させた。

もう一人の主人公である鉄人28号にも触れないわけにはいかない。鉄人も敵のブラックオックスも金属製のロボットゆえ、日本の特撮が得意としてきた着ぐるみは使用できない。そこでこの映画では生身の俳優の動きをモーションキャプチャーし、それをロボットとして3DCG化するという手法を取っている。ただこれが今ひとつ画面に馴染んでいない。動き自体に不自然さは感じられないものの、ロボットに重みというか、リアルな存在感が薄いのである。主役がこれではつらい。逆にこのほのぼの感が昭和レトロでいいという意見もあるだろうか。

定番のロボット・プロレスシーンでも、派手な光線や壮絶な爆発などはない。また無節操な都市の破壊シーンもない。ひたすらゴンゴンという金属と金属がぶつかる音が響くだけである。戦闘シーンにド迫力や爽快感を期待する向きにはまったく評価されないほど、地味なバトルである。そもそも今時の飛び武器を備えていないロボット同士、しかもオリジナルの印象が古き良き昭和ゆえ、設定を変えてまでハリウッド風の派手な戦いをさせることはできなかったのであろう。しかし、それが正解だったかどうかは難しいところである。昭和30年代の建物を基準に考えられた身長20メートルは、21世紀の超高層ビル群の中ではいかにも貧弱である。ゴジラがどんどん大きくなりパワーアップしたのと同様に、鉄人も新世紀モードにしてもよかったかもしれない。ロボットがあまり魅力的でないのは、返す返すも残念であった。

脇を固める俳優はなかなかゴージャスである。私からすると夢のような共演である(笑)。蒼井優・田中麗奈・西田尚美・薬師丸ひろ子(田中と西田はちょい役)。ここに麻生久美子がいれば、完璧である(「鉄人」と同日、麻生久美子主演の「ハサミ男」も公開開始)。中澤裕子はまぁどちらでもいい。男性陣も香川照之・柄本明・中村嘉葎雄・高岡蒼佑・伊武雅刀らで、こちらも実力派が揃っている。結果、映画全体に落ち着きと締まりが感じられた。音楽は千住明が担当し、主題歌はもちろん「夜の町にガオー!」である。凝ったパンフレット(昔のカッパ・コミックスを模している)が楽しい。

「戦う勇気だけがあなたの武器なのよ」と蒼井優に言われたら、困るなぁ(何をだ!?)。とにかく正太郎くんは「信じて進め」を実践した、そういう映画だった。悪くはないと感じたが、好き嫌いは大きく分かれる映画だと思った。ワーナーマイカルシネマズ茨木で鑑賞。

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