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2005.05.20

写真集、3冊

東京という都市を覗く装置として窓を使う中野正貴の『東京窓景』(河出書房新社)。中野の手法はとても興味深い。月並みな言い方になるが、どこにでもありそうな東京の風景が、見事に一幅の絵として成立している。おそらく同じ風景を同じ窓の外側から撮ったとしても、ちっともおもしろくなかったであろう。それがフレームとして窓を映し込むことでこれほど劇的な効果を生み出すとは。決して動くはずのない風景に強烈な生きたドラマを感じる。まさに窓の向こうには劇場があるという趣である。それにしても「金のウンチ」が窓の外、すぐ目の前にある生活というのはどうなんだろ? 第30回木村伊兵衛写真賞受賞。

その木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家の作品を集成した書も刊行されている。『36フォトグラファーズ 木村伊兵衛写真賞の30年』(朝日新聞社)がそれである。第1回の北井一夫から上記の中野正貴まで、戦後の日本写真界を代表する作家の見応えのある写真が居並んでいる。ダイジェストではあるが、この国の写真の歴史の一端を見ることができよう。なお同内容の写真展が川崎市市民ミュージアムで現在開催中である。こちらもぜひ見に行きたい。

もう一冊。『The Polaroid Book』(TASCHEN)はその名の通り、ポラロイド写真ばかりを集めたものである。しかし、ただ寄せ集めたのではない。「こんな人まで!」と思わせる写真家を含む224人もの圧倒的なボリュームによって、独特の風合いを持つポラロイド写真の魅力を余すところなく伝えている。コレクションはポラロイド社の創設者エドウィン・ランドと写真家アンセル・アダムズによってなされているという。さもありなん。ポラロイドフィルムを模した銀のカバーや、レインボウカラーのきれいな装幀など、細部まできちんとデザインされた完成度の高い写真集である。こんなのをつらつらと眺めていると、またいらぬ物欲が沸き上がるのであった。

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コメント

>だいせいさん
今週末のご予定はいかがだったでしょうか。どれかものになりましたか? いずれもよい写真集ですが、やはり資料的にはポラロイドのがよろしいかと(高いけど)。ポラロイド写真がお好きなら、期待を裏切られたりはしないと思いますよ。

投稿: morio | 2005.05.22 03:20

注目系が似ています^^
東京窓景は立ち読みですが、金のうんちにくぎづけでした^^;
川崎市民ミュージアムは川崎にある家の近くでよく行くんですが、出張中でなかなかいけず、無念中。川崎にかえりたい毎日。
ポラロイドブックは銀色の袋を店頭であけたくてあけたくて仕方ないですがあけると自動的にお買い上げになるためなかなかあけられません。
どれかひとつでもちゃんとものにしたい土曜日です。

投稿: だいせい | 2005.05.21 07:58

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