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2005.06.10

偉大なり、これら異世界

1970年に大阪で開催された日本万国博覧会の記録DVDが発売になった。関西では飛ぶような売れ行きを見せて品薄状態になっているらしいが、東京では店頭で普通に買うことができる(新百合ヶ丘、町田周辺限定、笑)。思い入れの度合いが違うということなのだろう。先に発売された万博グリコの売れ方を見てもそういうのは感じられたし、現在開催中の愛・地球博にしても、地元民とそれ以外の土地の人たちとの間には明らかに温度差があると思われる。

さて大阪万博の目玉展示であったアメリカ館の月の石は、1960年代のアポロ計画によってもたらされたものである。その熱狂ぶりたるや、すさまじいものであった。当時いたいけな子供であった私は、数度の万博詣での甲斐もなく、ついにこの異世界の石を拝むことはできなかった。残念だと思ったけれど、すぐに石のことなど忘れたのは子供ゆえの無邪気さというか罪深さというか……。

そして久しぶりにあの石のことを思い出させてくれたのが、マイケル・ライト『フル・ムーン』(新潮社)である。NASAの低温保管庫には、アポロ計画ミッション中にハッセルブラッドで撮影された宇宙写真が大量に残されていたという。3万2千点から厳選された写真は打ち上げから帰還までの「奇跡の月旅行」の全貌を見せてくれる。私は人間の撮影した宇宙写真の生々しさに打ち倒された。写真とは一期一会の瞬間を捉えたものと考えるならば、これ以上の写真集はないかもしれない。なお『フル・ムーン』は、川内倫子が最も好きな写真集としてあげていたものでもある(自分のような者が写真など撮らなくてもいいのではないかと思ったらしい)。細部まで味わい尽くしたい。

価値ありといえば、三好和義の『屋久島』(小学館)もすばらしい。人気のある「屋久島」本は掃いて捨てるほどあるが、この写真集は「RAKUEN」ものを得意とする写真家による乾坤一擲の一冊である。とにかく写真が美しい。なんでも「最高級の美術印刷技術」を使って制作されたという。このクオリティの高さは一見の価値があろう。ページを繰るたびに息を詰めて見入ってしまった。生命感溢れる緑と水の島の空気を確かに感じることができる。

月も島もただひたすら偉大である。そのことを改めて知る。

#大阪万博DVD、次に見かけた時に手に入れようっと。

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コメント

>ふりぷれ
昨日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。万博DVD、わくわくしながら最初の方を見ました。覚えているようで覚えていない思い出の一部を返してもらったような心境です。

愛・地球博では、やはり会場に近い子供たちが終了間際にやってきて、冷凍マンモスを見ているのでしょうかね。

投稿: morio | 2005.06.11 22:18

先日アメ村のタワーレコードでようやく「日本万国博覧会の記録DVD」買いました。そういえば他の店では見かけませんでしたねぇ。

ちなみに「月の石」は、地の利を生かして、人出が少なくなる会場が閉まる直前に入って、行列がなくなったアメリカ館をスイスイと入って見ました^^

投稿: freeplay | 2005.06.10 09:10

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