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2005.07.09

エキスポ70

大阪千里丘陵の万国博記念公園を取り囲む形で走る外周道路には、中央環状線と中国自動車道を跨ぐための橋が二つ架けられている。東側が進歩橋、西側が調和橋という名をそれぞれ持つ。この名前が1970年に開催された日本万国博覧会のテーマ「人類の進歩と調和」から取られたのはいうまでもない。今から35年前、二つの橋から見える風景はやがて来る未来そのものであったはずである。

■「公式長編記録映画 日本万国博」(谷口千吉監督、1971年)
公開当時、圧倒的な興行記録を打ち立てたという伝説のドキュメンタリー映画がDVDになった。1970年の日本万国博覧会の準備から閉幕後までを3時間にまとめている。あくまでも記録映画なので、過剰な演出やあざといドラマはなく、淡々と時間軸に沿ってこの万博の姿を描き出そうとする。あれほどの国家的規模の巨大プロジェクトでありながら、意外にも素朴な手作り感覚に溢れていることが何とも微笑ましく思われた。いずれにしても思い出や記憶との相互作用の度合いによって、感動の質や深さも変わってこよう。そういう意味では見る人を選ぶ映画である。

■『EXPO'70 驚愕!日本万国博覧会のすべて』(ダイヤモンド社)
こちらは写真と文章で日本万国博覧会を回顧する。特に建築物に焦点を当てている。大阪万博最大にして最高の建築物は、岡本太郎の「太陽の塔」であろう。しかし、この書をつらつらと眺めていると、この塔に勝るとも劣らない個性的な造形が目白押しであったことに気付かされる。その多くは記憶の片隅に確かに残っており、これらが総合プロデューサー丹下健三以下、国内外で活躍する著名な建築家や美術家の手になることを知って、改めてこの万博の凄さに驚かされるのである。大阪万博で実験的に提示された前衛的な建築手法やデザインは、その後、世界各地で実用化されているという。

半年間で延べ6500万人もの人を集めた世紀の一大イベントの跡地には、深い緑をなす自然公園と当時の面影をかろうじて残す遊園地、そして永久保存が決まっている太陽の塔が静かに残されているだけである。太陽の塔の背後の池ではイサム・ノグチの巨大な噴水の脇を親子連れやカップルのボートが楽しげに行き交っている。この日常と非日常が交錯するシュールな風景こそが「人類の進歩と調和」の35年後の未来なのであった。

#イサム・ノグチといえば、「CASA BRUTUS EXTRA ISSUE イサム・ノグチ」というムックも見ていて楽しかった。また斬新なエキスポタワー(2003年に解体)を手がけた菊竹清訓は愛知万博の総合プロデューサーを務めている。

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コメント

>Muさん
『20世紀少年』は同じ浦沢の『Pluto』を読んでから気になっていたものです。いずれ大人買いで読みたいと思います。万博の頃は確かに生まれておりました(笑)。

投稿: morio | 2005.07.19 00:13

morioさん、万博ともうせば、最近読んでいる「20世紀少年」の中盤までは、この万博時代小学生だった子供達の、将来がキーになっていたな。
なんとも、ノスタルジーあふれる。
morioさんは、うまれていたかいなぁ(笑)

投稿: Mu | 2005.07.18 08:48

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