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2005.07.07

モーターサイクル・ダイアリーズ

さまざまな映画賞を獲得した世評の高い映画である。革命家チェ・ゲバラの若き日の南米旅行を描いている。思想的な部分の描写は最低限に抑え、南米から中米への若者の旅をロードムービーとして見せる。

チェ・ゲバラという固有名を意識してみた場合、物語の濃度はかなり薄いものに感じられる(念のために言い添えておくと、退屈なだけの南米観光映画でないことは確かである)。1万キロに及ぶ旅を2時間の枠に押し込めるわけだから、それも致し方ないとは思うが、これはゲバラの思想を産み育てたという重要な大冒険なのである。問題の根の深い部分に行く前にあっさりと次の土地へ移動するかのような印象を受けるのはいかがなものか。その淡泊さは好みの分かれるところであろう。

もちろん映画自体は若者の旅につきものの波瀾万丈のエピソードが盛り沢山で、飽きることがない。アンデスでの共産主義労働者との出会いや、アマゾン川の隔離医療施設での出来事などは、多くのことを考えさせられるだろう。それだけにこうしたとりわけ印象深いエピソードはもっと掘り下げて見せてほしかったと思うのである。こんなことを思わされるのも、結局は主人公が伝説的な存在であるゲバラゆえのことかもしれない。神秘的な存在の正体を知りたがるのはいけないことか……。

無垢な主人公が幾多の試練を乗り越えて成長するという冒険物の王道を行く佳作である。南米を感じさせる色がとても美しい。

公式サイト

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» ◆モーターサイクル・ダイアリーズ◆ [グッドトリップ]
革命家として有名なチェ・ゲバラ。 彼が23歳のときに、南米大陸を横断する旅に出た。 そのときの体験記が元となった作品。 本作品は、革命家としてのチェ・ゲバラではなく、 彼の学生時代(医学生です)に、友人との 南米大陸横断の旅日記を元に作成されています。 前半は冒険野郎な、スピーディーで、非日常な体験。 険しい山岳地帯や砂漠を、自身の所有するバイクに 二人乗りで果敢(無謀か?)に挑む。 目標はベネズエラ。出発はアルゼンチン。 バイク一台に大人二人。二人分の野外生活装備も..... [続きを読む]

受信: 2005.07.23 20:56

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