「ペ」と言ってもヨン様ではない
どこで知ったか、もう忘れてしまったけれど、あるライターが韓国の俳優ペ・ヨンジュンのことを「ペ」と書いたところ、一部の熱狂的なファンから烈火のごとき怒りを買ったらしい。話の流れや調子とも関わりがあるので一概には言えないが、新聞や雑誌において芸能人著名人を呼び捨てにするのは一般的ではないのか、ナベツネのことを「渡辺さん」なんて言いたくないなと、これはまったく関係のない話でした。
さて「ペ」と言えばヨン様以外にはまったく思いつかなかった。(他をまったく知らないだけ……)。少なくとも先だっての「リンダ リンダ リンダ」を見るまでは。でも今はヨンジュンではなくドゥナだ。「冬のソナタ」の大ファンのわが母上には「ごめんなさい」と言うしかない(頼むから冷蔵庫に写真を貼るのはやめてくれ)。最近「ペ(=ヨン様)」が髪型を変えたところ、「前の方がいい!」などという声が続出、大騒ぎになったとかで、あっという間に元に戻したというのも関係のない話でした。
閑話休題
■ほえる犬は噛まない
ペ・ドゥナの名を一躍世に知らしめた作品(らしい)。あるマンションで連続小犬失踪事件が発生する。事後処理をする事務職員ヒョンナム(ペ・ドゥナ)は、小さな正義感から自らの手で犯人をつかまえようと奔走するのだが……。犯人は最初に明らかにされているから、そこにどうやって至り着くか、その過程が見所である。胡散臭い人物や挙動不審な人々に囲まれて活躍する彼女の、コメディエンヌとしての才能を存分に楽しむことができた。ゆるゆるだらだらどたばたしても、決して品を失わないのがこの人のいいところだろう。韓国社会と犬の独特の関係は、ペットとしての犬しか知らない者には少々刺激が強いかも。原題は「フランダースの犬」。意味深だなぁ。映画の主題歌はもちろん「ラッタッタ〜、ラッタッタ〜」である。
公式サイト http://www.hoeruinu.com/
■子猫をお願い
DVDのパッケージ裏に記された蓮実重彦の評、「映画の歴史を揺るがせる希有の処女作である」とまで書く理由が奈辺にあるのか、ぜひ知りたいものである。疑っているわけではない。私自身もこの佳作のよさに感心したし、できれば多くの人に観てもらいたいと思っている。なんでも公開時は折からの韓流ブームとこの蓮実の煽動的言辞によって、ずいぶんと観客動員を延ばしたらしいのだ。すでにこの評を掲載した公式サイトはなくなっている。残念。
物語は仲良し5人組の女子高校生が卒業を期にそれぞれの道を歩き始め、それとともに永遠に続くかと思われた友情が徐々に崩壊していくさまを淡々と描く。美しいものだけを映しているのではないのに、美しいと感じる場面がとても多い。控えめな音楽もよし。人物造形がややパターン化されている嫌いはあるけれど、彼女らの立ち位置を暗示する服装や小物の使い方がよく練られている。たとえば彼女らの差異を無効化していた制服が高校卒業と同時に各自の私服になる。そこで露わになる5人の生活や趣味の違いが、そのままその後の友情の行方を示唆する。特に説明はされないが、見るだけで了解された。その種の道具の使い方がうまいと思う。とりわけ「繋がり」として象徴的に機能する猫と携帯電話は秀逸である。ペ・ドゥナは、唯一の求心点として立ち回るテヒのやるせなさを、彼女の行動の中に透かし見せた。
「アイドルではなく俳優として生きていくためには必要だから」と、本国では汚れ役なども積極的にこなしているという。次はどんな演技を見せてくれるのか、楽しみに待つことにしたい。
ペ・ドゥナ公式サイト http://www.doona.net/
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斎藤美奈子の著作を読むと、目の付け所や対象への切り込み方がいいなとたいてい思わされる。この印象はデビュー作の『妊娠小説』(ちくま文庫)以来変わらない。最新作である『誤読日記』でも随所に斎藤節が炸裂している。
創刊号(森山大道特集)と第2号(星野道夫特集)を買って以来、しばらくその存在を忘れていた雑誌「
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