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2005.08.22

森村泰昌『時を駆ける美術』

森村泰昌森村泰昌。古今東西の有名絵画の登場人物に扮したり、世界的な活躍をする映画女優になったり、そのユニークかつ実験的なパフォーマンスで広く知られている。近年開催される現代美術を扱う展覧会では欠かせない作家の一人であろう。

黒いマリリン
肖像ゴッホ

本書は、既存の体系や価値観、評価の枠組みを解体し、自在な精神で美術を楽しもうという態度で語られる。それはまさに森村自身の活動そのものである。

むしろ私は、年表のなかのお定まりの時間と空間に固定されることから自由の身となった、「時を駆けるゴッホ」が見たいと思う。

たとえばドラクロワの「民衆を導く自由の女神」。なぜ戦時下のリーダーがおっぱい丸出しなのか。たとえばピカソの「ゲルニカ」。あの絵にまつわるエピソードや思想を取り除くと、果たして美的価値はあるのか。たとえば岡本太郎の「太陽の塔」。これは「埴輪になったウルトラマン」である。etc etc...

個々の作品の勘所への迫り方、目の付け所がおもしろくて、一気に読み切ってしまった。アカデミックな態度を否定するわけではないが、美術史の確認をするためだけの鑑賞ほどつまらないものはない。名作を教養としてありがたがるのではなく、「今そこにある楽しいもの」として教えてくれる一冊であった。(知恵の森文庫、2005年7月)

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