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2005.08.25

斎藤美奈子『誤読日記』

森村泰昌斎藤美奈子の著作を読むと、目の付け所や対象への切り込み方がいいなとたいてい思わされる。この印象はデビュー作の『妊娠小説』(ちくま文庫)以来変わらない。最新作である『誤読日記』でも随所に斎藤節が炸裂している。

「本を読む」イコール「正しい解釈を心がけて読む」という姿勢が一般的であるとおぼしい。これは画一的な解答が要求される学校教育の悪しき弊害でもあるだろうが、そうした文字通り「教科書通りの読み」というのはたいていありきたりでつまらない。本の向こう側に生身の作者はいないのだから、もっと自由に読んでもいいのではないか。

斎藤は本書で「本は誤読してなんぼです。深読み、裏読み、斜め読み。(中略)さらに一歩先を行く誤読の方法をご紹介いたしましょう」と言い切る。私たちは自分の感性と解釈力、想像力を信じ、思うがままに読めばよいのである。そこにこそ読書の楽しみはあるだろう。自分自身の心で感じ、自らのことばで語ったものは、価値の有無優劣を抜きにして、無条件にすばらしいものである。一見、荒唐無稽な読みであっても、それを見た人が納得したり説得されてしまったら、いつの間にかその読みが「定説」になるのだ。

「週刊朝日」と「アエラ」に掲載された162回分175冊に関するコラムが収められている。タレント本から純文学まで、硬軟取り合わせて飽きさせない。胡散臭いあの人この人の著作物が、ものの見事に化けの皮を剥がされております。(朝日新聞社、2005年7月)

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コメント

>たもとさん
はじめまして。コメントありがとうございます。おっしゃるところはよくわかります。ただこの本にしても、別の著作にしても、彼女の「斬り方」そのものを楽しんでいるところが大きくて、内容そのものに全面的に賛同するということではないですね。はずれているかと見えるものにも「空振りの美」みたいなものが感じられるように思えます。

投稿: morio | 2005.09.02 20:58

始めまして。私はちょうど読み終えたところです。斉藤美奈子さんは、本当に着眼点や切り込み方、そしてタブーのない書評が読んでいてすっきりします、が、たまに?と思うところもあります。斉藤美奈子さんを批評する勇気のある人は?

投稿: たもと | 2005.09.01 08:57

>ぽた郎さん
勝った〜(笑、ちがう)。デビュー当時はちょっと感情的で才気走っているかと思ったこともあったのですが、最近の著作はどれもよい案配で楽しませてもらっています。おっしゃるとおり、「プロ」ですね。

>Muさん
ぜひ。『文壇アイドル論』(岩波書店)とか『物は言いよう』(平凡社)、『文章読本さん江』(筑摩書房)なども合わせてどうぞ。

投稿: morio | 2005.08.29 01:20

ほぅ。
これはおもしろそう。
誤読、誤解の映画、小説、古代史、という要素を、Muもちょっと真剣に考えよう。

投稿: Mu | 2005.08.28 05:42

「誤読日記」,私もちょうど読んでます。先を越されたー。(笑)
斎藤美奈子はやっぱりうまい。毒舌だけども下品すぎず,辛辣だけどもお高くとまらず,スキがないですなー。さすがプロってカンジ。

投稿: ぽた郎 | 2005.08.27 23:54

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» 『誤読日記』 [天竺堂通信]
 読書好きの私でも、本なら何でも読む訳ではなく、日々出版される新刊すべてをフォローできるはずもない。興味深い著者や作品は積極的に読みたいし、興味はなくても話題作なら一応チェックはしておきたい。  本書は、斎藤美奈子が雑誌に連載していた2000年4月〜04年....... [続きを読む]

受信: 2005.10.29 10:41

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