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2005.10.13

恋は五・七・五!

長澤まさみの映画主演第一作は文系根性映画「ロボコン」(2003年)であった。実際に開催されている「ロボットコンテスト」を題材にして映画化したものである。まさに青春映画の王道を行く佳作であったが、いかにも低予算でB級邦画な雰囲気が濃厚だった。飛ぶ鳥を落とす勢いの長澤もまだまだ地味に見えるところが今となっては懐かしい。モスラの小美人をしていた少女がロボコン熱血女子高生や薄命の美少女(「世界の中心で愛を叫ぶ」)を経て、今や浅倉南(「タッチ」)なのだ。人生ゲームだと大富豪への道になるのだろうか。

「ロボコン」と同じく高校生の文系根性映画「恋は五・七・五!」は、馬鹿馬鹿しくもおもしろかった「バーバー吉野」の荻上直子監督の作品である。毎夏愛媛県松山市で開催されている「全国高校生俳句甲子園大会」を題材にしている。大阪の地元の高校がこの大会の常連校で、市内ケーブルテレビは大会の前後によく特集番組を組んでいた。これがなかなかおもしろい。詠まれる句のすばらしさもさることながら、それぞれの句を巡ってのディベートがとても熱いのだ。

総じてこの映画は「俳句甲子園」大会のエッセンスを上手く掬い取り映像化していると思う。さらりとしたタッチのユーモラスな場面や昔懐かしいちょっとエッチなシーンなどが軽やかなリズムを形成する。漢字の書けない帰国子女の治子(関めぐみ)が、平易でありながらうまく感情をまとめ上げる句「南風わたしはわたしらしく跳ぶ」を詠み、「風雪に耐えたる春の城址かな」という相手方の重厚な句を打ち破るクライマックスなどは、現実の俳諧の世界における伝統と革新の鬩ぎ合いを見るかのようである。治子に思いを寄せる写真部のつっちー(細山田隆人)の句「印画紙に写せぬ君の笑い声」も青臭いところがいいなぁ。

  「俳句はポップなんだから!」(by治子)

然り。同系統の文系青春映画「スウィング・ガールズ」の完成度には及ばないけれど、先の「ロボコン」には十分太刀打ちできるものだろう。関めぐみが長澤まさみほどブレークするかどうかは今後の展開次第か。

補足
最近刊行された枡野浩一ドラえもん短歌がなんだかおもしろいなと思った。
  失恋をグウで殴ってもう決めた私今日からジャイアンになる
  自転車で君を家まで送ってたどこでもドアがなくてよかった
ちょっと自分でも作ってみたくなる。ミーハー?

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コメント

>Michiyoさん
けらけら笑いながら見終えることができます。軽い気分になりたいときにはちょうどよいですよ。伊予電とか松山城とか、見覚えのある風景も続々登場します。

ところで、愛媛のとべ動物園がとても気になっているのですが、どんなところかご存じですか(地元の人には愚問?)。

投稿: morio | 2005.10.15 02:39

松山が舞台モノの映画にかなり敏感な私にとっては、この映画、とってもきになっていたんですよ!!
なかなかおもしろそうですね。
俳句甲子園は、松山にいたとき、一回だけちらっと見たことありますよ。結構白熱していたような・・・。

さすがにもうスクリーンでは見れないので、レンタルで見てみます♪

関めぐみさん、「8月のクリスマス」ではヒロインですよね~。これも気になります・・・。

投稿: Michiyo | 2005.10.14 01:28

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