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2005.11.02

ビートキッズ

少し前に高校生吹奏楽部の全国大会ドキュメンタリー番組を放送していた。多少の脚色はあるだろうけれど、基本的にはこういう「今しかできないこと」に打ち込む人々を見るのは好きで、涙腺を微妙に刺激されながら最後まで楽しんだ。

「ビートキッズ」は高校生の音楽をモチーフにした青春映画である。お約束の挫折と成功のスパイラル構造を持つもので、いつもの私なら無条件に飲み込まれてしまう結構である。でもこれはあまり楽しめなかった。ぎくしゃくした進行と「途中の過程はすべて省略、以上!」のごとき展開に、ちっとも血がたぎってこないのだ。こういう映画は過程を描いてナンボではないだろうか。星飛裕馬だって大リーグボールの特訓をしたではないか(古い)。ヒーローやヒロインはちゃんと辛い目にあってもらわないと。

また舞台が大阪ということもあり、その面でも大いに期待していたのに、この地である必然性があまりにも希薄で、それはそのまま失望感に転化していった。岸和田・大阪城公園・舞洲・阪堺電車・淀川工業高校吹奏楽部・太田房江(おいおい)……。大阪を感じさせるものが次々と登場するのに、これほど大阪を感じさせない映画も珍しい。主人公たちも大阪と兵庫出身の面々であるのにもかかわらず、変な関西弁(非関西人が話す関西弁)になってしまっている。なぜ? あとは物わかりのいい校長と陰湿陰険な中間管理職的教員というステレオタイプな造型も手垢にまみれすぎて見苦しい。

物語は前半の吹奏楽部編と後半のロックバンド編が完全に遊離してしまっている。展開に唐突の感が否めないのだ。二つの物語を橋渡しする重要な人物であるナナオ(相武紗季)を映画の後半から消してしまったことが、統一感を損なわせてしまうことになったと思われる。これならば、前半なら前半だけ、後半なら後半だけを丁寧に描いて見せた方がよほど説得力のあるものになったのではないか。特典映像の中に初日舞台挨拶の模様が収められており、そこで塩屋俊監督が「スウィングガールズには負けていません!」と叫んでいた。「いや、それはどうかな、監督」と画面に向かってつぶやきたくなった。

「ビートキッズ」公式サイト http://www.beatkids.com/
Hungry Days公式サイト http://www.toshiba-emi.co.jp/hungrydays/
相武紗季の出演するパイロットCM http://www.pilot.co.jp/tvcm/index.html

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