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2005.12.04

バットマン・ビギンズ

「バットマン・フォーエバー」以来、8年ぶりのバットマン映画である。脳天気なスーパーマンよりダークなバットマン派の私としては、劇場でぜひとも観たいと思っていたものの、「スターウォーズ・エピソード3」公開に心を奪われている間に、気がついたら終わってしまっていた。

時系列から行くと以前の4作の前に戻ることになるのだが、物語としては直接つながるものではない。たとえば主人公ブルースの両親の命を奪ったのは、旧シリーズではジョーカーであったのが、今作では貧しい強盗になっている。そしてその事件こそがブルースのバットマン変身への大きな原動力になっている。つまりはいっさいが仕切り直しの新シリーズなのである。とはいえ、どこまでもダークな色調は旧シリーズに通底するもので、「ビギンズ」をそこにつなげるのは不自然な作業とはならない。旧シリーズとて配役や細かな設定は動いたわけだから、要は観客の解釈次第であるといえよう。

世界平和のために悪を殲滅しようとする独善的狂信的な集団がバットマンの前に立ちはだかる。彼らは悪の巣窟となったゴッサムシティを殲滅すべく、恐るべき計画を実行しようとする。しかもこの集団はかつてブルースを鍛え上げた集団でもあるのだ。ゴッサムシティの壊滅まで残された時間はわずか……。

マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、リーアム・ニーソンらの豪華な脇役に交じって、渡辺謙も大いにその存在感を主張していた。バットマン=ブルース・ウェインを演じるクリスチャン・ベールはもとより、彼らの堅実で重厚な演技が物語全体を引き締め、揺るぎないリアリティをもたらしていた。寄り道や脇道が多く、ドラマが本格的に動き出すまでの関係性をつかむのが少々面倒だが、一度転がりだした後の展開とスピード感は申し分ない。恐怖に駆られた人々が互いに疑心暗鬼となり殺人ゲームを開始するという物語に、昨今の世界の状況を思い浮かべるのは容易であろう。

ティム・バートン監督の1作目2作目ほどではないにせよ、ジム・キャリーやシュワルツェネッガーが敵役として登場した作品群よりは、ずっと好ましい出来になっていると思う。シビれた。

公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/movies/batmanbegins/

余談:リーアム・ニーソンの殺陣シーンでは、ついクワイ・ガン・シンのそれを思い出してしまった。

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