国宝源氏物語絵巻展
東京から大阪に戻る週末、名古屋で途中下車した。徳川美術館で公開されていた国宝源氏物語絵巻を観るためである。この平安時代末に成立した絵巻は東京の五島美術館と徳川美術館で分蔵されており、五年に一度、互いに貸し借りをし全巻の公開を行っている。名古屋では一九九五年以来十年ぶりの公開となる。

すでに観覧に行った人の話やネットの情報からそれほど混んでいないと踏んでいたのだが、さにあらず。名古屋駅のバス乗り場からすでにたいへんな混雑となっていた。美術館に到着しても入館を待つ人が長い列をなしている。ようやく入った館内も、先日の北斎展と同じか、それ以上の人であふれかえっていた。約二時間ほどで名古屋駅に戻らなければならないので、かつて見た(はず)徳川家のお宝はすべてパスし、まっすぐ源氏物語絵巻のところへ向かった。

しかし……。ものすごい人垣ができており、しかもガラスケースの前に続く列の後方に並んでも、これがちっとも動かないのだ。「どうやら名古屋の人はモリコロに鍛えられたらしい」などと中部の母に実況生中継メールを送って憂さ晴らしをしたりしたが、それで事態が変わるわけもない。諦めて主要なものを見るだけにして(絵巻自体は何度か過去に見ている)、同じく源氏物語関連の展示をしている蓬左文庫の資料室や国宝絵巻を復元したものを鑑賞することにした。

バブリーな造りの庭園も館内の喫茶室も土産物店も、とにかくどこもかしこも人だらけであった。思った以上に時間がかかり、しかも名古屋の基幹バスに翻弄され(?)、名古屋駅に到着したのは出発予定時間の三十分前である。きしめんも食べられず、昼ご飯は駅弁に化けた。ああ、大いに心残りである。また行くぞ、名古屋。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント