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2006.01.14

いつか読書する日

いつか読書する日たぶん人生の折り返し点をとうに過ぎたのだろうなどと思うと、なんとなく寂しくなるからあまり考えないようにしているけれど、これが五〇歳になったら間違いなく生きた時間より残りの時間の方が短いと自覚せざるをえない。自分がその年齢に達したとき、いったい何を思い出し、何を考えて行動するのだろうか。今のところ、毎日を生きるのに精一杯なのだが。

坂道の街で幼い頃から生活を続けている大場美奈子(田中裕子)は今年で五〇歳になる。今も独身で、牛乳配達とスーパーのレジで生計を立てている。美奈子は高校時代に付き合っていた、同じ街で市役所に勤める高梨槐多(岸辺一徳)への思いを今なお胸の内に秘めていた。槐多もまた死に至る病に伏せる妻容子(仁科亜季子)に付き添う傍らで、美奈子への思いを忘れることはない。そんな二人の思いに気付いた容子は、ある願いを美奈子に託す。

純愛映画ではあるが、一直線に突っ走る若者や道ならぬ恋に燃える中高年が主人公でないので、とにかく渋くて品がよく、静かで苦い。現実に組み伏せられた「常識の人々」の秘めた思いが、いかなる形で生き続けているのか。かつて淡い恋を経験した誰しもが、画面の物語をわがこととして読み替えることができるであろう。派手なところのまったくない映画だが、それこそが人生であるといわんばかりの強い説得力を感じた。『独立少年合唱団』(これもよかった)の緒方明監督作品。第七藝術劇場(復活めでたし)で鑑賞。

公式サイト http://www.eiga-dokusho.com/

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» いつか読書する日 [銀の森のゴブリン]
2004年  監督:緒方明 脚本:青木研次 撮影:笠松則通 照明:石田健司 美 [続きを読む]

受信: 2006.03.21 17:01

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2004年  監督:緒方明 脚本:青木研次 撮影:笠松則通 照明:石田健司 美 [続きを読む]

受信: 2006.03.21 17:03

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