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2006.01.18

THE有頂天ホテル

いつか読書する日いくつものドラマ、人間模様が並行して進み、やがてそれらは有機的に絡み合いながら一つにまとまっていく。個々のドラマが魅力的で、それもこれも折り紙付きの実力を持つ主役級の俳優が居並んでいるからだろうが(名ばかりのオールキャストものが多い中、この映画のオールキャストにはきちんとドラマがある)、一つ間違えばバラバラに分解してしまいそうな物語を違和感なくまとめ上げる三谷幸喜の筆力と構成力に感服するのが、まずは真っ当な見方であろう。今作は久々に脚本、監督ともに担当する。

1932年公開のアメリカ映画「グランド・ホテル」に範を垂れ、さらにタイトルには、これも古い名画である「有頂天時代」から一部を借りているという。物語の舞台は大晦日の超高級ホテルである。三谷は「ずっと靴を履いていてもおかしくない」場所としてホテルを選んだという。多くの日本人にとって非日常的空間(非現実ともいいえる)であるホテル、そこで繰り広げられる日常生活(生々しい現実)を引きずったドラマ。このコントラストの妙がなんともおかしい。三谷お得意の限られた時間、空間での人間模様が秀逸である。迫りくる刻限とその場から逃れられない状況が、作中人物をますます追い込みうろたえさせる。見所多し。

あらすじは書きようがないので公式サイトでご確認を。http://www.uchoten.com/

観客は演劇的な舞台回しを楽しみながら、この放埒極まりないように見える物語の落とし所を求めてわくわくすることになる。見終えた後に何か深いものが残るとか、人生をじっくり考えるとか、そういうことはおそらくない。しかし、多くの人と一緒に「わはは」「くすくす」と笑える時空間に居合わせるというのも時には大切である。エンドロール後の観客のほんわかとした笑顔が印象的だった。もちろん私も。

三谷のこれまでの映画は、舞台が先行してあり、後にそれを映画化していた。次は「THE有頂天ホテル」の舞台版を見てみたいものだ。なおドタバタ喜劇が好みでない方には薦められない。平日昼間にもかかわらず、それなりの観客で賑わうワーナーマイカルシネマズ新百合ヶ丘で鑑賞。

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コメント

>moさん
パンフレットにも「グランドホテル形式」を謳っています。

花については、それに注目していない人間からすると、ものすごく美しいか、見るに耐えないほど酷いかでないと、印象には残らないもののようです。ロビーはもとよりそこここに飾ってあったように思うですが、印象は希薄です。機会があれば、ぜひ御覧下さい。

投稿: morio | 2006.01.22 22:47

いわゆる「グランドホテル形式」の作り方なのですか。プラス3谷色な映画と思えばよいのかな。ふむ。

そういえばホテル装花など印象に残りました?
見る人いないよなあ?と思いつつ、弊社の請負仕事の一つなものですから(笑)
わき道にそれてしまってごめんなさい。

投稿: mo | 2006.01.22 00:00

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