ベルリン、僕らの革命
若者の独りよがりの考えと行動やいかに。青春の暴走とはそういうものか。
「ベルリン、僕らの革命」(ハンス・ワインガルトナー監督)は東西ドイツ統一後の混乱に満ちた社会を舞台に、恋愛、友情などにもがきながら体制批判活動をする若者達をクローズアップする群像劇である。同じく統一後のある家族の悲喜劇を描いた「グッバイ・レーニン」(ウォルフガング・ベッカー監督)がただちに思い起こされるが、どちらもダニエル・ブリュールが主人公を好演する。
貧富の多大な格差が社会問題となっている統一ドイツにおいて、新体制に疑問を持ち、日々活動に勤しむ三人の若者がいた。ある時、富豪の屋敷での「活動」を目撃され、成り行きからその家の主人を誘拐することになってしまう。ところが、その主人というのはかつて革命運動でならした猛者であった。富豪は彼らの姿に自らの過去を重ね、また若者らは富豪の話から自分たちの生きる道を思う。彼らは不条理な現実にどう折り合いをつけて生きていこうとするのか。
「ベルリン、僕らの革命」も「グッバイ・レーニン」と同様に、救いがたいほどの深刻な社会状況やそこに住む彼ら自身をコミカルかつ軽妙に描こうとする。社会問題を糾弾するとか、主義主張、思想を前面に押し出すことはせず、あくまでも世界中のどこにでもある(はずの)若者たちの青春そのものをテーマにしている。そこに革命の心と青春を捨て去った者が関わることで、双方が自らを振り返るきっかけを得る。悪者はどこにもいないし、皆がそれぞれ成長を遂げ解決策を見出すという、いわば一種のファンタジーとしてこれを捉えることができるだろう。パッケージとしてとてもまとまりのよい映画だと感じた。
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