« ネット上の新聞 | トップページ | 動物本三昧 その1 »

2006.03.09

NANA

simsons大谷健太郎監督もすっかりメジャーの仲間入りか。それはそれで喜ばしいことかもしれないけれど、人気と引き替えに本来の持ち味がすっかり薄まってしまったように見える。「avec mon mari」や「とらばいゆ」で見せた畳みかける会話の妙はどこにいってしまったのだろうか。前作の「約三十の嘘」でも、大谷映画の身の丈に合わないような豪華キャスト(椎名桔平、中谷美紀、妻夫木聡、八嶋智人、田辺誠一ら)に不安を覚えたが、果たせるかな、ただ順番に見せ場を出し合うようなまとまりのない作品になってしまっていた。そして今回は総売上三千万部超を誇る大人気コミックを原作とする。ますます工夫のしようがないではないか。

面倒だから映画の紹介文をDVDのパッケージから引っ張ってくる。

不幸な生い立ちながら、クールでカリスマ性のある、パンクバンドのボーカリスト・ナナと、平凡だが明るい家庭に育ち、恋が最優先の今どきのキュートなオンナのコ・奈々。夢を歌うナナに、夢に恋する奈々。一見正反対に見える二人の恋と友情、夢と現実を描いた青春ストーリー!!

これ以上でもこれ以下でもない。矢沢あいの原作を忠実に梗概化した映画としかいいようがない。もっとも私は原作への思い入れがない分、主人公の二人を演じた中島美嘉と宮崎あおいの「なりきりっぷり」には大いに感心させられた。また二つのバンドのために用意された劇中の曲(「Glamorous Sky」「Endless Story」)は展開にぴたりと寄り添い、流れてくるだけで煽られているような気分になるのもさすがである。でもそこまでなのだ。映画鑑賞後に原作を読む機会を得たが、結局「漫画のキャラを上手にコスプレして演じた映画」以上のものにはなりえていないと思った。大資本に屈したとは考えたくないが、ついに大谷監督の持ち味は完全に消失した。

二人の少女は、困難な局面では互いに相手を励まし勇気づけ、やがて相応の明るい未来を掴み取る。どうやら原作ではこのあとは一筋縄ではいかないような展開となるようだが、ひとまず映画では大団円でエンディングとなる。続編のことまで考えていなかったための処置であろう。観客動員の好調だったことを受けて、すでに続編が来夏公開されることが決定しているという。また原作のあらすじを辿るだけのコスプレ映画を作るつもりだろうか。

「NANA」公式サイト http://www.nana-movie.com/

|

« ネット上の新聞 | トップページ | 動物本三昧 その1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11234/9010533

この記事へのトラックバック一覧です: NANA:

» [Entertainment]そーいえばNANAも観たぞ [ぽた郎の軟弱低空飛行日記]
「のだめ」のあと,「NANA(劇場版)」がやってたので,後半だけ観る。・・・んーむ。なんじゃこりゃ。俳優がどいつもこいつもそろってヘタ。セリフ棒読みだし,表情ぎこちないし,発声がぜんぜんなっとらん〜。学芸会か?(「のだめ」の方は殆どの俳優がとりあえず大絶賛... [続きを読む]

受信: 2006.12.13 01:45

« ネット上の新聞 | トップページ | 動物本三昧 その1 »