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2006.05.14

サヨナラCOLOR

サヨナラCOLOR「怪演」の度が過ぎて反感を買うことも多い竹中直人。出演作の多くで見せる周囲と馴染まないハイテンションとノリは、確かに見る側をどこまでも鼻白ませてしまう。それはそのまま竹中への好悪の評価にも直結しているといえるだろう。巷間によく知られる「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」、さらにテレビドラマなどでそれをやっているから、なおさらこの一面だけが世間に強く印象づけられてしまった。

しかし、竹中の出演したものを追いかけていくと、決してそれだけではないことに気付く。いくつかの作品ではしっとりとした中年男性の哀愁のようなものを切々と演じきっているのである。たとえば「東京日和」や「無能の人」「連弾」などだ。竹中はユーモアとペーソスを醸し出し、いい歳の取り方をした「中年のおっさん」をうまく体現している。忘れてならないのは、これらの作品は竹中自身が監督をしているということである。つまり本人の考える「自画像」と他人の期待する「竹中像」にはズレがあるとおぼしい。いい悪いではなく、どちらも真実なのだと思う。

サヨナラCOLOR」では、竹中一流の哀感に、良くも悪くも持ち味となっている「怪演」気質が上手くミックスされた演技をしている。難病を患って入院してきた高校時代の初恋の人を治療する医師を演ずる。監督・演出は竹中である。もちろん見る人によってはその「怪演」部分を受け入れられないかもしれないが、きちんと抑制されていると思った。少なくとも物語の進行を分断してしまうようなことはない。ただお涙頂戴と勘違いされそうなテーマ(難病と生死)や、さらに結末が途中で見えてしまう脚本などにはもう少し捻りがほしかった。澄んだ透明感のある映像はとても美しい。

映画で若々しくヒロインを演じる原田知世も、もう不惑目前である。けだし永遠の少女である。薬師丸ひろ子とともに、これからも長く活躍してほしいと願う。角川映画、ミーハー路線であったかに思われたが、実は見る目があったか。

公式サイト http://www.zaziefilms.com/sayonara-color/index.html

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