DVDで観たものだし
早く書かないと印象が薄れてしまう。いや、もう薄れているかも。
■ライフ・オン・ザ・ロングボード
定年後の人生はいかなるものか。これからますますこういうテーマの物語が出てきそうな気もするが、この映画では、今は亡き妻と若い頃に約束したサーフィンに挑戦することで、「損なわれた本当の自分を探す」のである。そういう意味では少年少女が「まだ見ぬ自分を探す」のと、趣向は同じであろう。ただこの種の若者の物語につきもののほとばしる青い恋愛はない(当然か)。種子島の海は気持ちがよさそうだなぁ、と脊髄反射的な感想を吐いておく。大杉漣が初老サーファーを熱演する。次は誰の番?
公式サイト http://www.ntve.co.jp/lotl2/index2.html
■仮面ライダー The First
オリジナルの「仮面ライダー」を思い出させるオマージュに溢れたものである。本郷猛と一文字隼人の二人がショッカーによって「バッタ怪人」に改造されたものの、やがて洗脳から覚め、裏切り者として狙われるという一連の流れは、少年時代の青臭い記憶を呼び起こして感動させられた(世代限定)。ボディースーツもサイクロン号も、さらにはショッカーの怪人も、オリジナルの雰囲気を濃厚に残しながら今風に造型されている。デジタル合成の死神博士(故天本英世)も登場する。しかし、何より特筆すべきは1号と2号の「愛の確執」が主題として据えられていることである。なんと二人は一人の女性記者を恋愛対象として奪い合うのだ(変身までして!)。世界平和はどこへいったのか。恋愛の本能の前には悪なんてどうでもいいということか。お子様向け映画のよくするところではない(笑)。
仮面ライダー The First解説
仮面ライダー The First公式ブログ
■愛してよ
西田尚美も母親役をするような年齢になってしまった。小学生の息子と二人暮らしの母親が、彼への愛情をモデルとして成功させるという教育熱に読み替えてしまう。やがてその行為が日々の暮らしの無力感や寂しさを紛らわせるための手段と成り下がった時、息子は母親に疑問を持ち始めることになる。「愛する」「愛される」という見えない感情を、目に見える目的に形を変えて追いかけるうちに、もともとあったはずの感情がどこかに置き去りにされてしまう哀しさ。父親との距離感や都市伝説の扱い方もおもしろかったが、一にも二にも主演の西田尚美の全編にわたる熱演が印象的であった。
■カーテンコール
邦画の公開はけっこうまめにチェックしているつもりだが、この映画は存在すら知らなかった。佐々部清監督の作品は、日本と韓国の高校生の遠距離恋愛を描いた「チルソクの夏」という佳作を観ている。この「カーテンコール」もそれと同じく両国にまつわる物語である。映画がまだ娯楽産業の中心にあった時代に幕間芸人として活躍した韓国人を、現代の日本人女性記者が探し出し、当時の家族に再会させるというものである。直球勝負の人情ものが苦手な人にはつらいかもしれない。幕間芸人を演じた藤井隆がよい味を出していた。伊藤歩はじっとしていても造作が派手なので、こういう地味な役柄にはちょっと合わない感じがした。
公式サイト http://www.curtaincall-movie.jp/
■空中庭園
角田光代の小説を原作とする(直木賞受賞作の『対岸の彼女』よりこちらの方がよほどよいと思う)。隠し事をしないというルールを持つ家族が、隠し事をし始めるとどうなるのか。そしていったん隠していたものを吐き出してしまうとどうなるのか。家族のあり方を考えさせてくれるかどうかはともかく、あけすけになりすぎることの怖ろしさを、文字通り背筋の寒くなる思いで見せつけられた。小泉今日子、怖い……。
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